イランにドローンの大量輸出能力なしの見方、米諜報を疑問視

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(CNN) イランがロシアに攻撃型を含む数百機規模のドローン(無人機)を供与する準備をしているとの米政府の諜報(ちょうほう)に関連し、イランにそれほどの機数を輸出出来る能力はないなどの見方が出てきた。

英ロンドンに拠点を置くイラン情勢を追うシンクタンク「ボウス・バザール」の創設者は、イランが運用に耐え得る多数のドローンを現在保持している可能性は少ないと指摘。ドローンを大量に輸出した経験もこれまでないと断言した。

仮にイランがウクライナでの戦闘に使うためドローンを実際にロシアへ差し向けた場合、事実上、北大西洋条約機構(NATO)の「裏庭」とも言えるウクライナでロシア対西側諸国の代理戦争に自らを巻き込むことになるとも指摘。

この場合、イランがバイデン米政権へ伝えたいメッセージには、米国が既得権益を握る遠方の紛争地域でイランも同じく影響力を及ぼし得るとの意味合いが込められているのだろうとした。

イラン製のドローンは各国の軍が調達を望む高性能の装備品との評価はないが、イランの敵対勢力には潜在的な脅威となり得る可能性も指摘されている。

中東を管轄する米中央軍のマッケンジー司令官は昨年、米議会での証言でイラン製ドローンが米軍や同盟諸国などへもたらす新たなかつ複雑な脅威の現出を警告。「朝鮮戦争以降、我々は初めて制空権を掌握しないでの作戦遂行にも直面しかねない」との危機感も訴えていた。

イラン製のドローンはウクライナ戦況を一変させるほどの兵器にはならないとの見方もあるが、ドローン活用でロシア軍は弱点を埋められるとの指摘もある。

イラン指導部の直属組織である革命防衛隊のサラミ司令官は昨年、保有するドローンの飛行距離は7000キロと誇示。米平和研究所によると、イランの中距離用ドローンが最新式のセンサー、一連の武器などを搭載していた場合の可能な滞空時間は最長で20時間と分析。イランが支援するレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは最大で150キロの物体を積んだドローンを運用出来る可能性にも触れた。

イラン製ドローンは同国外で使われたこともあるが、大半は中東の紛争地域内に限られ反政府勢力などが用いていた。イラク、イエメンやサウジアラビアでの攻撃で使われ、米政府はサウジの石油関連施設で2019年に起きた攻撃にも投入され、原油価格の史上最高値にもつながったと分析している。

イランはこの攻撃への関与を否定している。

イランがロシアへ大量のドローンを提供するとの諜報は、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が記者会見で明かしていた。無人機を使うためにロシア軍を訓練する準備もしており、早ければ今月初旬に最初の訓練が始まるとも述べていた。

無人機のロシアへの譲渡は、ウクライナでの戦闘でロシア軍が保有兵器の消耗に直面している証拠とも主張した。

サリバン氏の今回の発言はイランの核開発を制限する合意の協議に関する米国とイランの話し合いが決裂の様相を帯びている中でのものともなっている。決裂すれば中東での新たな紛争の勃発(ぼっぱつ)を招きかねないが、一部のアラブ諸国とイスラエルが米政府の支援を受けイランの脅威に対抗する連携を準備しているとの観測も流れている。

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