4歳児が親と別れて隔離、中国のゼロ・コロナ政策で人々が払う犠牲

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ロックダウン中の福建省厦門市。居住区域の入り口で、政府職員がバイクを止めている/Feature China/Barcroft Media/Getty Images

ロックダウン中の福建省厦門市。居住区域の入り口で、政府職員がバイクを止めている/Feature China/Barcroft Media/Getty Images

冒頭の動画を撮影した看護師は地元紙の取材に答え、子どもで満杯になった救急車が病院に到着するのを見たとき目に涙があふれたと語った。子どもは全員防護服で覆われていた。1人の子どもが家を出たがらず、2時間泣き続けた末にようやく救急車に乗ったので、病院への到着が遅れたという。

到着した子どもたちはCTスキャンを受けた。あまりに幼くて自力で台に上がれず、医師の手を借りる子どももいた。

看護師は「見慣れない病院の中で、小さな子どもたちはおびえている。その様子を見るのは本当に心が痛む」と付け加えた。

香港大学のウイルス学者、金冬雁氏はこうした厳格な感染対策について「手違いで1000人殺してしまっても、1人を逃がさなければそれでいいというのが基本的な戦略だ」と指摘。「子どもにここまで極端な隔離措置は必要なかったはず。感染を一切許さない手法が、こうして社会に犠牲を強いている」と語った。

それでもゼロ・コロナの戦略は、依然として中国国民の間で広く支持されているのが実情だ。多くの国民はコロナのない生活がもたらす恩恵にすっかり慣れ、ウイルスへの恐怖を払拭(ふっしょく)できていない。国営メディアが海外でのパンデミック(世界的大流行)の惨状をこれでもかと流しているのが一因だ。

「厳格なアプローチの成功は、部分的には大衆の恐怖に立脚したものだ。これは理想的とは言えない」「正しいやり方は、(ウイルスと共存する必要性について)真実を大衆に伝えることだ。それこそが、社会を維持しつつ前へ進んでいくための唯一の方法だ」(金氏)

中国は16日、国産ワクチンの接種を完了した国民が人口の71%に相当する10億人に達したと明らかにした。接種率で下回る英国や米国はすでに国境を開いているが、中国が同様の規制解除に踏み切る様子はない。

金氏は、中国当局がワクチンの有効性に懸念を抱いており、十分な強度の社会的免疫を獲得できているのかどうか自信が持てずにいるとの見方を示した。

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