ロシア戦闘機、「影の船団」を護衛か ロシア政府による初の動きと西側当局者ら
(CNN) 先週まで、ロシア産原油を世界中に輸送する秘密の船団は、クレムリン(ロシア大統領府)との明確なつながりを示さなかった。しかし、劇的な緊張の高まりの中で状況は一変した。ロシアが戦闘機1機を使い、船団に所属すると思われるタンカー1隻の護衛を試みたとみられることが明らかになった。
エストニア軍が13日、英国から制裁を受けた無国籍タンカー「ジャギュア」に接触し、確認を試みたところ、ロシアのSu35戦闘機がエストニア領空内で同船の上空を飛行したという。エストニア国防軍が発表した。同軍は最終的にタンカーをエストニア領海の外へ移動させた。
「これは極めて目新しい事象だ」と、エストニアのツァクナ外相は15日、トルコで開催された北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で記者団に語った。ロシアは今や、いわゆる「影の船団」と「公式に結びつき、連携している」と同外相は付け加えた。
他の専門家もこれに同調する。「クレムリンが考え方を大きく転換したように思える」と、英国に拠点を置くシンクタンク、王立防衛安全保障研究所(RUSI)の上級研究員、エド・アーノルド氏はCNNに語った。
ロシアとの公式なつながりを持たない、数百隻にも及ぶと推定されるこの「影の船団」には、老朽化が進み整備不良の船舶が多数含まれており、環境破壊を引き起こした例があるほか、バルト海沿岸の重要な海底ケーブルへの損傷に関与したとの指摘も出ている。ロシアは、これらの損傷への関与を否定している。
こうしたタンカーの多くは所有構造が不透明で、西側諸国の制裁を回避するため、ロシア産原油を輸出用に輸送している。そのため、これらのタンカー自体も対ロ制裁のさらなる標的となっている。
ロシアが経済制裁への対応として初めて「軍事行動」を使用したことは、「NATOの東側で我々が直面している脅威のレベルの高さを物語っている」と、フランスのバロ外相はトルコでの会合で記者団に述べた。