北朝鮮在住者が北を非難、異例の短編集「告発」 国外出版の経緯は小説よりも奇なり

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「告発」はこれまで19の国の言語で翻訳・出版されている

「告発」はこれまで19の国の言語で翻訳・出版されている

もしも女性が依頼に応じ、原稿を持ったまま拘束されていたら、北朝鮮へ送還されて収容所へ送られたり、処刑されたりしたかもしれない。「北朝鮮から文書を持ち出すのは非常に難しい。我々も過去に何度か失敗している」と、都氏は話す。

そこで都氏は、改めて協力者を北朝鮮の作者のもとへ送ることにした。苦肉の策として、中国人観光客が持ち帰る荷物に原稿を紛れ込ませ、政治宣伝本の間にはさんでおいた。荷物は国境でX線検査にかけられたが、中身は調べられずに無事通過した。

原稿は13年に韓国に届き、都氏が早速出版社を探した。

作者は体制指導下の朝鮮作家同盟に所属していたが、今は引退して平穏に暮らしているという。ただ都氏はそれ以外の情報を明かそうとしない。

北朝鮮内部から体制批判の声を上げている文筆家は、この人物のほかに知られていない。本人の身の安全が第一だと、都氏は強調する。

都氏によれば、短編集と同時に金正日(キムジョンイル)体制の時代を扱った詩集が持ち出されていた。これも今後出版される見通しだという。

同氏は、作者が今も執筆活動を続けていることは間違いないと話し、いつの日か現在の金正恩(キムジョンウン)体制を描いた作品も世に出すことを試みるはずだと、期待を寄せている。

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