アポロ13号の宇宙飛行士、ジム・ラベルさんが死去 97歳

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アポロ13号のミッションを指揮、ジム・ラベルさんが死去

(CNN) 米航空宇宙局(NASA)の著名な宇宙飛行士、ジム・ラベルさんが死去した。97歳だった。ラベルさんは1970年、月面着陸を断念せざるを得なかったアポロ13号のミッションを指揮したことで知られる。

NASAの報道発表によると、ラベルさんは8月7日、イリノイ州レークフォレストで亡くなった。死因は現時点で明らかにされていない。

遺族は声明の中で、「有人宇宙飛行の先駆者となった伝説的なリーダーシップをはじめとする、故人の素晴らしい人生とキャリアの功績をとても誇りに思う」「ただ私たち全員にとって彼は父であり、祖父であり、家族のリーダーだった。そして何よりも、彼は私たちのヒーローだった」と故人を追悼した。

1966年11月、ジェミニ12号のミッションで宇宙船に乗り込むジム・ラベルさん/NASA
1966年11月、ジェミニ12号のミッションで宇宙船に乗り込むジム・ラベルさん/NASA

アポロ13号の船長に選ばれる前からNASAの宇宙飛行士の間でよく知られる存在だったラベルさんは、ジェミニ7号、ジェミニ12号、そしてアポロ8号のミッションで宇宙飛行を経験していた。アポロ13号のミッションはNASAにとって3度目の有人月面着陸になるとみられていた。

しかしラベルさんとジョン・スワイガート・ジュニアさん、フレッド・ヘイズ・ジュニアさんの宇宙飛行士3人を乗せたこのミッションは不運な結果に終わった。地球から約32万2000キロ離れた地点で、乗組員のサービスモジュールに設置されていた酸素タンクが爆発した。

損傷により電源やその他の生命維持装置が事実上失われたため、アポロ13号の乗組員は月面への旅を急遽(きゅうきょ)断念。エンジンを数回噴射して月の裏側を回り込み、地球への帰還経路を取った。

サターンVロケットでアポロ13号が打ち上げられる様子/Bettmann Archive/Getty Images
サターンVロケットでアポロ13号が打ち上げられる様子/Bettmann Archive/Getty Images

3人の乗組員はタンク爆発の約3日後に南太平洋に着水し、地球への帰還を果たした。この結末は、アポロ計画における「成功した失敗」として知られるようになった。

苦難のミッションは後に映画化もされた。ロン・ハワード監督の1995年の映画「アポロ13」で、俳優のトム・ハンクスさんがラベルさんを演じた。劇中、ラベルさんも着水後にアポロ13号乗組員を救助した海軍艦艇の艦長として短いカメオ出演を果たした。

アポロ8号に搭乗して月を周回した宇宙飛行士、ウィリアム・アンダースさんが撮影した「アースライズ(地球の出)」/NASA
アポロ8号に搭乗して月を周回した宇宙飛行士、ウィリアム・アンダースさんが撮影した「アースライズ(地球の出)」/NASA

ハンクスさんは8日、インスタグラムに声明を投稿。「大胆に夢を描き、我々が一人では行けないような場所へ導いてくれる人々がいる」「長年にわたり、地球上の誰よりも遠くの宇宙へ、誰よりも長期の旅をしたジム・ラベルは、まさにそのような人だった」と綴(つづ)った。

ラベルさんは月面に到達することはなかったが、後のCNNとのインタビューでは乗組員が無事に地球に帰還したアポロ13号について、成功したミッションだったとの感慨を語っている。

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