写真特集:ヘンリー・キッシンジャー氏の人生
写真撮影でポーズを取るキッシンジャー氏=2011年、ワシントン/Stephen Voss/Redux
(CNN) 米国の国務長官や安全保障担当のアドバイザーを務めたヘンリー・キッシンジャー氏が29日、死去した。100歳だった。同氏のコンサルティング会社、キッシンジャー・アソシエーツが明らかにした。
同社の声明によるとキッシンジャー氏はコネティカット州の自宅で息を引き取った。死因は明かされていない。
少年時代にナチス政権下のドイツを脱出したキッシンジャー氏は、米国の歴史上最も大きな影響力を持ち、物議を醸した外交官の一人となった。
同氏は1970年代の米国外交の代名詞であり、ノーベル平和賞も受賞した。ベトナム戦争における米軍の関与終結に向けた調整に寄与したことが受賞理由となった。また秘密外交を通じ、当時のニクソン大統領による72年の訪中を実現したことでも評価された。
一方で、ベトナム戦争時のカンボジア爆撃を巡り、多くの人々から非難を浴びた。この爆撃は大量虐殺を行った政治勢力「クメール・ルージュ」の台頭につながったとされる。また南米チリに関して、民主的な政権に対するクーデターを支持したとして批判を受けた。
中東では後に「シャトル外交」の呼称で知られる外交を展開。73年の第4次中東戦争後、イスラエルとアラブ勢力の間での兵力引き離しを実現した。
米国とソ連の関係では「デタント(緊張緩和)」を掲げ、両国の軍拡競争に歯止めをかける合意を複数成立させた。この姿勢はおおむね米国の指針となり、レーガン政権まで続いた。
ニクソン大統領がウォーターゲート事件で失脚してからも、キッシンジャー氏自身は独立した立場で活躍。外交にまつわる本人の見解は、常に関心を集めた。