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米中間選挙 上院の行方、この4州の結果次第か

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米中間選挙が近づき、上院選の行方がこれまでよりもはっきりしてきた/Beata Zawrzel/NurPhoto/Getty Images

米中間選挙が近づき、上院選の行方がこれまでよりもはっきりしてきた/Beata Zawrzel/NurPhoto/Getty Images

(CNN) 米中間選挙の投開票日が近づくなか、上院選の行方が以前よりもはっきりとしてきた。

世論調査の結果明らかになったのは、上院を押さえられるかどうかは、アリゾナ、ジョージア、ネバダ、ペンシルベニアの4州の結果次第となる可能性が高い。

計算は簡単だ。民主党が上院の支配権を維持するためには、この4つの上院選のうち3つに勝利する必要がある。共和党の場合は、もう少し楽な状況で、4つのうち2つに勝てばよい。

しかし、方程式が簡単であっても、問題を解くことは容易ではない。この4州の上院選はすべて誤差の範囲内にある。さらに、各州の人口構成はそれほど似ていない。つまり、今後の動きや世論調査の誤差が各州に違った形で影響を及ぼすことがあり得る。4州はまた、それぞれ固有の問題を抱えている。

アリゾナ州の選挙戦が最も理解しやすい。民主党は1988年以降アリゾナの上院選で勝てていなかったが、直近の2回の選挙では勝利を収めている。フェニックス近郊の大学教育を受けた白人有権者やヒスパニック系有権者が基盤となり追い風を受けている。先住民の人口が全米でも有数なことも助けとなっている。

マーク・ケリー上院議員(民主党)は公表されているいずれの世論調査でもリードを許していない。

平均すると、ケリー氏はブレイク・マスターズ候補(共和党)を約3ポイント上回っている。ニューヨーク・タイムズ紙とシエナ大学が先ごろ発表した世論調査によれば、ケリー氏はマスターズ氏を6ポイントリードしている。

マスターズ氏の問題はかなり単純だ。人気から不人気を差し引いた「純好感度」がマスターズ氏はマイナスとなっている。不人気な共和党候補というのは、共和党全体が悩まされている問題だ。一方で、ケリー氏の純好感度と支持率はプラスだ。

こうして、ケリー氏は、ジョー・バイデン大統領のアリゾナ州での不人気を克服することができた。

ケリー氏の一貫したリードが、多くのアナリストが上院の行方が他の3州に絞られるとみている理由かもしれない。

共和党にとって最も可能性が高く最も分かりやすいのはネバダ州だろう。タイムズ紙の世論調査や調査の平均では、キャサリン・コルテスマスト上院議員(民主党)とアダム・ラクサール候補(共和党)が五分の戦いとなっている。

ネバダ州は10年前にバラク・オバマ氏が大統領選で楽々と2度目の勝利を収めて以降、民主党寄りになりつつあるように見えた。共和党は過去2度の大統領選で、差を縮めてはいるものの敗北している。

共和党は、ヒスパニック系の住人や大学の学位を持たない白人有権者を基盤としている。ネバダ州の基幹産業である観光業は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時に大きな打撃を受けた。当時、全国の民主党は新型コロナ対策を推進する傾向がはるかに強かった。

世論調査によれば、コルテスマスト氏は、アリゾナ州のケリー氏と違い、支持基盤を作り出せていない。

上院の計算に必要な最後の2州は答えを見つけ出すのが最も難しい。ジョージア州とペンシルベニア州は、人口動態から見ると、これ以上ないほどの差がある。両州が2020年はいずれも僅差(きんさ)ながらバイデン氏に投票していたとしても。

ペンシルベニア州は「スイングステート(揺れ動く州)」で、民主党は大学の学位を持たない白人有権者を大きく取り込む必要がある。この層は民主党から距離を取っており、16年の大統領選でヒラリー・クリントン氏が民主党候補として1988年のマイケル・デュカキス氏以降初めてこの州で敗北を喫したのはそのためだ。

もし、アリゾナ州で国境問題が、ネバダ州で回復しつつあるギャンブル産業が重要な役割を果たしているとすれば、ペンシルベニア州でインフレ以外の大きな問題は犯罪だ。州内で最も人口の多いフィラデルフィア市はここ数年、犯罪率が急上昇している。

上院選ではジョン・フェターマン候補(民主党)が一時大きくリードしていたが、メメット・オズ候補(共和党)が犯罪問題を使って差を縮めている。

フェターマン氏は、今年に入り脳卒中のために選挙戦から一時離れていたにもかかわらず、堅調なようで、2~3ポイントのリードを保ち続けている。タイムズ紙はフェターマン氏が6ポイントのリードとしているが、調査の大部分は先ごろの討論前に行われた。多くの人々が討論会ではフェターマン氏は説得力がないとみた。

さらに、共和党はここ数年、最終的な世論調査の結果を上回る傾向がある。

ペンシルベニア、アリゾナ、ネバダの各州は当選予測に時間がかかるかもしれないが、11月の終わりには誰が勝者か分かるはずだ。ジョージア州では、そうはいかない可能性がある。

ジョージア州の選挙制度は今回の4州の中では独特で、候補者が勝利を収めるには過半数の票を獲得する必要がある。過半数を押さえた候補者がいない場合、12月に決戦投票が行われる。

現時点では、決選投票となる可能性が高い。現職のラファエル・ウォーノック上院議員(民主党)とハーシェル・ウォーカー候補(共和党)が接戦を繰り広げているものの、両候補とも世論調査の平均で50%に届いていない。

ジョージア州が独特なのは、決選投票になる可能性があるだけではない。ジョージア州は、今回の鍵を握る上院選が行われる州の中で圧倒的に黒人の人口が多い。民主党がジョージア州で復活した背景には、黒人人口の増加と、アトランタ近郊の大学教育を受けた白人有権者からの支持がある。

しかし、ジョージア州は、今回取り上げた州の中で最も共和党寄りだ。バイデン氏は前回の大統領選ではジョージア州での勝利が最も僅差だった。

ジョージア州は結局、今年のほとんどのスイングステートで起きているのと同じところに落ち着くのかもしれない。共和党のウォーカー氏の好感度がマイナスである一方、大統領の人気も非常に低い。

揺れ動く有権者がどちらを重要視するのかが、ジョージア州の勝者と上院の支配権を獲得する政党を決めることになりそうだ。

本稿はCNNのハリー・エンテン記者の分析記事です。

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