南シナ海で墜落したF35戦闘機、米海軍が回収急ぐ 中国軍の先回りを警戒

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米空母「カール・ビンソン」と「エイブラハム・リンカーン」からの離陸準備に入る戦闘機/Seaman Larissa T. Dougherty/US Navy

米空母「カール・ビンソン」と「エイブラハム・リンカーン」からの離陸準備に入る戦闘機/Seaman Larissa T. Dougherty/US Navy

だがアナリストらは、中国はほぼ確実に、墜落したF35C戦闘機を一目見たいと欲していると指摘。米ハワイ州にある米太平洋軍統合情報センター作戦本部長をかつて務めたカール・シュスター氏は、「中国は、潜水艦や深海への潜水用の装置を用いて、徹底的に捜索および調査しようとするだろう」と述べた。

また同氏は、南シナ海の領有権の主張に基づいて中国が、F35C戦闘機の引き上げの権利を主張し得る可能性があると指摘。「民間および沿岸警備隊のリソースを用いて同機を引き揚げることで、環境に害を与える可能性があるもの、もしくは外国の軍事装備品を領海内から回収していると中国が主張することは可能となる」と説明した。

だがシンガポールにあるS・ラジャラトナム国際研究院に所属するコリン・コウ氏は、そうした活動は政治的リスクを生じさせると指摘。

「あからさまにこれに取り掛かると、米国との緊張関係を悪化させる危険を冒すことになる。私は中国政府にそうした欲求があるとは考えていない」としつつ、「だが中国が、米国の引き揚げおよび回収作業などに影を投げかけ、付きまとって監視することは予想できる」と述べた。

シュスター氏は作業において、残骸があると思われる場所に米海軍の一部が展開する可能性が高いと指摘する。F35C戦闘機が南シナ海にどのくらい深く沈んでいるかによるものの、作業は数カ月かかる可能性があるとされる。米国の引き揚げ船が現場へと移動するのに10日から15日を要し、回収には最大で120日かかる可能性があると、同氏は話している。

また、米国は残骸を魚雷などの爆発物で破壊する可能性があるかとの問いに対し、アナリストらはその可能性が低いと話す。

コウ氏は、「諜報(ちょうほう)活動において結果的に掘り出し物となり得るものを、本当に何も残さないのかどうかは疑問だ。そうしたものが海底に散乱した破片の中にあれば、誰であれ能力のある関係当事者が結局は回収することになるのではないか?」と述べた。

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