バイデン氏、延期論退けアフガン完全撤退に固守 米軍への不信も
ワシントン(CNN) バイデン米大統領のアフガニスタン駐留米軍を完全撤退させる決意は固く、より遅い工程表での段階的撤収を求める国務、国防両長官の助言も退けて踏み切っていたことが16日までにわかった。
バイデン政権の発足後、数カ月間のホワイトハウスの内幕などを描いたワシントン・ポスト紙のボブ・ウッドワード記者ら2人の新著「ペリル(危険)」が伝えた。CNNはこの書物のコピーを入手した。
これによると、バイデン氏の完全撤収へのこだわりには、副大統領として仕えアフガン軍事作戦の終結を求めたオバマ元大統領を米軍が懐柔しようとしていたとの自身の見方がにじんでいる。バイデン氏はオバマ政権の1年目だった2009年に、軍はオバマ氏にひどい仕打ちをしたとの言葉を周辺に漏らしてもいたという。
新著によると、ブリンケン国務長官は今年3月に北大西洋条約機構(NATO)閣僚会議に出席後、米軍の完全撤収に関する見解を修正。それまでは全面的な引き揚げでバイデン氏と歩調を合わせていたが、政治的な和解につながり得るのかを見極め、交渉のための時間稼ぎを狙って駐留を延期させる立場に転じていた。
ブリンケン氏はベルギー・ブリュッセルから、NATO閣僚会議で政治的な和解への具体的な方途を確保するため米軍撤退を材料にすべきとの意見が満ちていたことをバイデン氏へ電話で報告した。
オースティン国防長官もほぼ同じ時期に、外交交渉を活用するため3〜4段階による撤収案を新たに提案していたという。
しかし、バイデン氏の決意は揺るがず、米軍駐留の維持を正当化し、終了の見通しが立たない政策を許容しない考えを固持した。
外交政策を検討する米国家安全保障会議の席上で、「我々の使命は過激派アルカイダや他のテロ組織がアフガンを米国や同盟国を攻撃する拠点にすることを阻止することで、イスラム主義勢力タリバンに致命的な打撃を加えることではない」とも主張したという。