米中東担当特使、ガザ停戦案を提示 イスラエルは「前例のない攻撃」を準備

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米国のウィトコフ中東担当特使/Kent Nishimura/Reuters

米国のウィトコフ中東担当特使/Kent Nishimura/Reuters

エルサレム(CNN) 米国のウィトコフ中東担当特使は26日、CNNの取材に対し、パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘を終わらせるための停戦と人質解放をめぐる提案が検討されていると明らかにし、イスラム組織ハマスに受け入れるよう求めた。

この提案は、生存している人質の半数と死亡した人質の半数を一時停戦と引き換えに解放し、その後、戦争終結のための包括的な合意について交渉を開始するという内容。一時停戦の期間について、ウィトコフ氏は明言を避けた。

ウィトコフ氏は、イスラエルが、恒久的な停戦への道筋を見いだすための実質的な交渉につながる、生存している人質の半数と死亡した人質の半数を返還する一時停戦と人質の解放に合意するだろうとの見通しを示した。停戦交渉については、自身が議長を務めるという。「交渉は提示済みであり、ハマスは受け入れるべきだ」

ウィトコフ氏によれば、ハマスはまだこの案を受け入れていない。

ロイター通信は26日、ハマスが人質10人を2回に分けて解放し、70日間の停戦に応じる案を受け入れたと報じた。ウィトコフ氏は自身の提案ではないとし、「到底受け入れられない」と述べた。

交渉に詳しいパレスチナ当局者はCNNに対し、ハマスがウィトコフ氏の案に合意したと述べたが、合意内容の詳細は明らかにしなかった。

米高官によれば、ウィトコフ氏は直接ハマスと会談していない。情報筋によれば、パレスチナ系米国人の実業家ビシャラ・ババ氏がカタールでハマス側と提案について協議したという。ババ氏は2024年米大統領選でトランプ陣営の支援団体を率いていた人物。

ウィトコフ氏が、停戦交渉で自ら議長を務めると明言したのは今回が初めて。ハマスは、前回の一時停戦でイスラエルが本格交渉に応じなかった経緯から、次の停戦では恒久停戦に向けた交渉に真摯(しんし)に臨むという保証を求めてきた。ウィトコフ氏の関与は、イスラエルが将来的にそうした交渉に参加するという米政権からの保証をハマスに提示することが目的とみられる。

イスラエルのネタニヤフ首相は26日夜、SNSに投稿した動画メッセージで、人質解放は最優先課題だと強調した。「きょう発表できなくても、あすには。われわれは決して諦めない」

しかし、イスラエル政府当局者2人はその後、交渉に進展はなく、ハマスは依然として提案を拒否する姿勢を崩していないと述べた。ネタニヤフ首相の発言について、ハマスがイスラエルの立場を受け入れた場合にのみ突破口が開けるという意味だったと説明した。

「前例のない攻撃」へガザ南部に避難命令

こうした提案が浮上するなか、イスラエル軍はガザ南部の大部分に避難命令を出し、軍の報道官は「前例のない攻撃」になると予告した。

避難命令はハンユニスとその周辺の大半が対象で、イスラエル軍の報道官は26日、「同地域はたびたび警告してきた危険な戦闘区域だ」と述べた。

避難区域は、ガザとエジプトの国境沿いにイスラエル軍が占領するフィラデルフィ回廊まで南下し、人口密集地のハンユニス全域を含むとみられる。住民には地中海沿いのマワシ地区への移動が指示された。

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