トランプ氏、移民への「思想審査」を提案
オハイオ州ヤングスタウン(CNN) 米大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ氏は15日、オハイオ州での演説でイスラム過激派に対する戦略案を示した。過激思想を米国から締め出すため、移民希望者に思想に関する審査を課すことを提案した。
トランプ氏は民主党陣営などから、米軍の最高司令官を兼ねる大統領には不適格との批判を受けてきた。しかし演説では逆に、民主党候補のヒラリー・クリントン氏には過激派と戦う「気力と体力」が欠けていると主張。世界と米国が現在さらされている危険に立ち向かううえで、信頼され得る指導者は自分しかいないと述べた。
「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」をはじめとする過激派組織との戦いは東西冷戦に匹敵するとの見方を示し、米国は内外の政策を全面的に見直す必要があると述べた。
かねて主張してきたイスラム教徒の入国禁止案に改めて言及し、「テロリズムを国外へ広めた前歴を持つ、極めて危険で不安定な地域からの移民受け入れを一時的に停止」するよう当局に求めた。
国内外のイスラム穏健派とは連携する姿勢を示す一方、反同性愛、反ユダヤ、女性差別の考え方や法律を持つ国からの移民、難民に対して強い警戒感を表明。「米国の価値観を共有して米国民に敬意を払う人々」だけを受け入れるべきだと訴え、冷戦時代に実施していたイデオロギー審査のような手法の導入を主張した。
同氏は具体的な対象国に言及しなかったが、陣営幹部はシリアやリビアを例に挙げている。同幹部はまた、アフガニスタンには女性やキリスト教徒、同性愛者に対して抑圧的、暴力的な態度を示す人が多いとも語った。
トランプ氏はさらに、ISISの台頭はオバマ政権による対イラク政策の失敗に直接の原因があるとの説を改めて展開した。また、「国家作りの時代」にはすぐさま終止符を打ち、国際社会にテロの脅威への共同対処を促すと誓った。
これに対し、クリントン氏は遊説先のペンシルベニア州で、トランプ氏の対ISIS戦略は「行き当たりばったりで一貫性がない」と批判した。