鉄道ファンがオリエント急行の「謎」を解明するまで

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列車の内装のリノベーションはフランス人建築家のマキシム・ダンジャック氏が手がける/Xavier Antoinet

列車の内装のリノベーションはフランス人建築家のマキシム・ダンジャック氏が手がける/Xavier Antoinet

それから時がたつこと現在。アコーのオリエント・エクスプレス・グループは発掘された車両のために壮大な計画を立てている。2024年からパリ―イスタンブール路線で、ノスタルジー・イスタンブール・オリエント急行の復刻版としてこの車両を走らせるのが目標だ。

現在はパリの建築家マキシム・ダンジャック氏が車両の改修作業にあたっている。ダンジャック氏はCNN Travelの取材に答え、「ノーとは言えない」「一生に一度の」プロジェクトだったと語った。

発見された車両の内装には、イギリス人内装家のモリソン氏とネルソン氏によるアールデコの象嵌(ぞうがん)の羽目板や、フランスの職人ルネ・ラリックが手がけたガラスパネルなどがある。現存する内装を初めて見たダンジャック氏も「感極まった」そうだ。

当時のオリエント急行が贅(ぜい)と快適とデザインの最骨頂と謳(うた)われていたことはダンジャック氏もよく理解している。改修した車両をこうした名声に見合うものにしたい、というのが同氏の希望だ。

「アコーの野望は、補修して当時の神話や伝説をそのまま再現し、唯一無二の列車にすることだ」(ダンジャック氏)

客車は24年に再び乗客を乗せて走る予定/Xavier Antoinet
客車は24年に再び乗客を乗せて走る予定/Xavier Antoinet

さらにダンジャック氏は、100年前の車両を改装するのは並大抵のことではないと続けた。車両の内部は、現代の旅行者が期待するサイズよりも小さい。歴史的遺産は保存しなければならないが、現代基準の快適性や安全性も盛り込まねばならない。

しかるべき箇所には新しい技術や手法が用いられるものの、乗客は21世紀に手を加えた部分に気づかないだろうとダンジャック氏は期待を寄せる。

ダンジャック氏の言葉を借りれば、「手を加える部分はきっと時代を超越しているはずだ」。

メテタル氏のほうは、無事に博士号を取得した。だがオリエント急行熱はいまだ冷めやらない。なかでもユーチューブで自ら存在を突き止めた車両への情熱はひとしおだ。現在はアコーの子会社オリエント・エクスプレス社で、歴史遺産文化の主任を務めている。

「1920年代の建設から再発見まで、この車両は濃密な歴史をたどってきた」とメテタル氏。「長い年月で車両が走った全行程、訪れた国々や都市をすべてたどったら、非常に面白いことになるだろう」

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