ハマスのSNS、イスラエル攻撃後にフォロワー激増 テレグラムで発信継続

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ガザ地区からイスラエルへ向けて発射されるロケット弾=7日撮影/Fatima Shbair/AP

ガザ地区からイスラエルへ向けて発射されるロケット弾=7日撮影/Fatima Shbair/AP

(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスは、大半のソーシャルメディアから閉め出されている。しかしSNSテレグラムに開設しているハマスのアカウントは、今月7日のイスラエルに対するテロ攻撃以降フォロワーが急増している。

ハマスの軍事部門「カッサム旅団」に属するあるアカウントは、フォロワー数が3倍に跳ね上がった。同アカウントに投稿された動画をはじめとするコンテンツの閲覧件数は10倍になっている。

ハマスは米国からテロ組織の認定を受けている。欧州連合(EU)の新たなインターネット法では、大規模なソーシャルメディアにテロリスト関連のコンテンツを投稿すると、罰則の対象になる可能性がある。

メタとグーグルはハマスによるアカウントの開設を禁止。X(旧ツイッター)もハマスを禁止し、関連するアカウントを「数百件」削除したと発表した。しかしロシアの起業家が立ち上げたテレグラムはハマスに対し、自社のサービスの使用継続を認める判断を下した。テレグラムの拠点は現在アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにある。

テレグラム上のカッサム旅団のチャンネルは攻撃時に約20万人のフォロワーを抱えていたが、以後その数は3倍以上に達している。米シンクタンク、大西洋評議会傘下の「デジタル・フォレンジクス・リサーチ・ラボ(DFRラボ)」による分析で明らかになった。

攻撃前、同チャンネルに投稿されたコンテンツの閲覧件数は平均約2万5000件だったが、現在は30万件を超えている。10倍以上の増加だ。

ハマスの報道官からの動画メッセージが投稿される別のチャンネルは、攻撃前に約16万6000人だったフォロワーが現在は41万4000人に増えた。脅威の分析に携わる企業、ミーメティカが明らかにした。

コンテンツの内容に関する規定が極めて緩いことから、テレグラムは各国の過激主義団体や米国内の極右グループの間で人気が高い。メタでテロリストなど危険集団への対策に当たるチームを運営した経歴を持つブライアン・フィッシュマン氏はそう指摘する。

同氏によればハマスのテレグラムアカウントのフォロワー急増は懸念材料だが、全てのフォロワーがハマスを支持しているわけではない。多数のジャーナリストや研究者その他が、これらのアカウントをフォローしている公算が大きいという。

それでもテレグラムは有効な宣伝工作の道具になり得る。より広範囲の人々にメッセージを送れる上に、受け手の一部がそれをさらに拡散していくとみられるからだ。実際に過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」のケースでは、そうした現象を確認しているという。

ロシア人の実業家でテレグラムの創設者、パーヴェル・ドゥーロフ氏は13日、ハマスのテレグラム使用を引き続き認めている理由について、ハマスがテレグラムを通じてイスラエルに住む民間人への警告を行っているからだと説明。先週にはアシュケロンの住民に対してミサイル攻撃前の投稿で警告を発していたとし、ハマスのチャンネル閉鎖でより多くの命を危うくする恐れに言及した。

米国では通信品位法第230条(セクション230)の下、SNSの投稿内容に関する運営企業の法的責任は免除されており、テレグラムに対して訴訟を通じハマス関連のコンテンツを削除させるのはより難しい状況にある。

EUは新たなデジタルサービス法(DSA) に基づき、非常に大規模なプラットフォームに対しては違法コンテンツや誤情報を扱った場合に巨額の罰金を科す可能性がある。同法は8月、メタ、X、TikTok(ティックトック)などに向けて施行されたが、対象企業のリストにテレグラムは含まれていない。

ハイテク企業各社へDSAにまつわる警告を送った欧州委員会のブルトン欧州委員(域内市場担当)は先週、EU当局者がテレグラムをどのように認識しているのかとの問いに対し、即答を控えた。

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