グーグル検索に対話型AI搭載、CNNが試用した結果は?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
グーグルが、主力の検索サービスに対話型AI(人工知能)を取り入れる計画を実行に移した/Danil Shamkin/NurPhoto/Getty Images

グーグルが、主力の検索サービスに対話型AI(人工知能)を取り入れる計画を実行に移した/Danil Shamkin/NurPhoto/Getty Images

(CNN) 米グーグルが、主力の検索サービスに対話型AI(人工知能)を取り入れる計画を実行に移した。同社の独占状態を脅かしかねないAIツールの相次ぐ台頭に追いつく狙いがある。

同社は10日、グーグル検索の次の進化を導入すると発表。対話型AIを使って「検索で答えが出せるとは思いもしなかった」質問に答え、ユーザーが望む情報をこれまでにない速さで入手する手助けをすると説明した。

グーグルの検索結果ページは目に見えて変化する。ユーザーが検索したい内容を入力すると、従来の検索結果に加えて、AIで生成された結果が自動的にポップアップ表示される。

新しいグーグル検索はまず米国で立ち上げる予定で、グーグルアプリかデスクトップ向けブラウザーの「Chrome」で利用できる。待機リストの登録受け付けは既に始まっており、数週間以内にユーザー数限定でアクセスできるようになる。

検索サービスの更新は、AIとハードウェア製品に照準を当てた年次開発者会議「I/O」で発表された。同イベントでは、「チャットGPT」を開発したオープンAIの「GPT―4」に対抗するグーグルのAI言語モデル最新版「PaLM2(パーム2)」も発表。同社のAI製品を支える技術の大きな前進と位置付け、論理や常識的な推論、数学の向上を約束している。また、さまざまなプログラミング言語で専用のコードを生成することもできる。

チャットGPTの成功を受け、グーグルの競合各社はマイクロソフトも含め、競って検索サービスや業務用ツールにAI機能を取り入れている。グーグル経営陣はチャットGPTが大きな脚光を浴びたことを受け、検索ビジネスの状況について非常事態を意味する「コードレッド」を宣言したと伝えられている。

検索エンジンの変更に加えてグーグルは、対話型AI「Bard」の利用対象も拡大する。これまで利用できるのは待機リストに登録した米国内のユーザーのみだったが、間もなく120カ国の全ユーザーが40言語で利用できるようになる。

ただし対話型AIの導入はある程度のリスクも伴う。そうしたツールは論調や正確性をめぐる懸念も浮上している。特に正確性は、長年にわたってグーグルが主力としてきたネット検索にとって重要性が大きい。

新しいグーグル検索を試用した結果

CNNは10日の発表を前にグーグルのAI検索ツールを試用した。その結果、ミツバチが私たちの生態系にとって重要な理由、オレゴン州ポートランドのサウンドホテルにペレトンのフィットネスバイクがあるかどうか(ある)、子ども向けのチェスキャンプが地元にあるかといった質問に、わずか数秒で答えを出した。

同ツールはウェブサイトを調べ、関連情報を抽出して組み合わせ、検索結果ページのトップに整然と表示してくれた。その横には情報源も表示されていた。

ただし完璧ではなかった。「ニューヨーク市で最高のピザの店」を検索したところ、検索結果にはサンフランシスコの店が多数並んだ。

グーグルの検索担当副社長、キャシー・エドワーズ氏はこれについて、同サービスはまだ非常に初期の段階にあると述べ、今後数週間から数カ月で変更を続けていくと説明。「私たちは真に学習し、問題を解消したいと思っている」「自分たちがうまくいったと確信するまでは、この経験を万人に提供したくない」と話した。

チャットGPTやスナップチャットの「マイAI」、Bardなどと違い、グーグルの検索ツールは意図的に「人格」を持たせていない。

「我々は意図して、ウェブ上の情報のみを反映させることにした」とエドワーズ氏は言う。「答えに『と思う』を付けたり、物事に関する意見を表明したりはしない。他の対話型AIとは感覚が異なる」

しかし他のツールを何カ月も使っていたユーザーは違和感を覚えるかもしれない。CNNがグーグルのツールに対し、自宅に子どもがいる状況でのワーク・ライフ・バランスの取り方についてアドバイスを求めたところ、日々の仕事と生活の両立に関して他の対話型AIのような同情や共感の言葉はなかった。

新しいグーグル検索には、ほかの人たちが買ったり考えたりしている内容を紹介して検索結果に取り入れる「パースペクティブ」機能もある。「この画像について」というツールでは、画像に関する事実関係を認識し、グーグルが初めてその画像を参照した時期や、他のウェブサイトに表示されているかどうかをユーザーが質問できる。これには「画像を見た通りに受け止めるのではなく、理解度を高めてもらう」狙いがあるとエドワーズ氏は話す。

検索を追求した25年の旅

こうした取り組みは、背後で懸念が浮上する中でもグーグルがAIの前進に尽力する姿勢を表している。

グーグルは今年3月、Bardのデモで望遠鏡に関する質問への回答が不正確だったことをめぐって批判の的になり、親会社アルファベットの株価が急落した。

マイクロソフトの対話型AIも、デモでの間違いをめぐって批判を浴びた。

「私たちは検索を追求して25年旅してきたが、それでも問題は未解決のままだ。これは何十年もかけて測定される次の長い章になる。だから大胆ながらも責任をもってうまくやりたい」とエドワーズ氏は話している。

「米国」のニュース

Video

Photo

注目ニュース

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]