巨大IT企業が競う時価総額3兆ドルレース
ニューヨーク(CNN Business) 米株式市場で時価総額1兆ドル(約113兆円)を突破する企業が相次いでいる。
ソフトウェア大手マイクロソフトの時価総額はアップルを抜き、世界最大となった。両社とも時価総額約2.5兆ドルに達している。
グーグルの親会社アルファベットの時価総額は2兆ドルに迫り、アマゾンは1.7兆ドル。電気自動車大手のテスラは10月末に1兆ドルを突破した後、約1.25兆ドルまで急上昇した。
この5社を合わせた時価総額の合計はほぼ10兆ドル(約1136兆円)。この5社だけで、S&P総合500社の時価総額を合計した41.8兆ドルの4分の1近くを占める。
SNS大手メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)の復調が続いた場合、S&P総合500社のうち6社が時価総額1兆ドルを突破する可能性もある。メタの現在の時価総額は約9300億ドル。
だがIT業界の堅調が続くことを前提とすると、この6社全社が近いうちに2兆ドルを突破する可能性もある。マイクロソフトとアップルは3兆ドルも視野に入る。
IT業界ではほかにも半導体大手のエヌビディアや中国のテンセントが1兆ドルに迫っている。
これほど多くの企業が1兆ドルに到達するのは不可解に思えるかもしれない。しかし巨大IT企業の収益は増大し続け、それが時価総額を押し上げている。
しかし市場のこうした動向について、1990年代~2000年初めにかけてのナスダック市場のバブルを思い起こさせると指摘するアナリストもいる。
「テスラの急騰は、00年のバブルの頂点に立ったシスコの動きを思い起こさせる」。ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイク・オローク氏は今月の報告書でそう分析した。
オローク氏によると、シスコ株は00年の最初の3カ月で約50%急騰し、シスコは世界初の1兆ドル企業になるだろうとクレディ・スイスのアナリストは予測した。
しかしそうはならなかった。20年前のハイテクバブルの頂点にあった当時、シスコの時価総額は約5500億ドルまで上昇したが、今では約2400億ドルに下落。やはり1990年代後半のハイテクバブルを率いたインテルも、ここ数年は苦戦が続き、ピークだった2000年の時価総額には到底届かない。
これは、市場のリーダーになることの方が、市場のリーダーであり続けることよりも易しいであろうことの証しだ。つまりマイクロソフトやアップル、アマゾン、アルファベット、テスラが今後もトップの座を維持できる保証はない。
新興企業や新興技術の台頭も予想され、40年代初めごろの時価総額上位企業の顔ぶれは、21年とは全く違っているかもしれない。