世界初の「3Dプリント住宅街」、完成に一歩前進 メキシコ

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3Dプリンターで「住宅街」を メキシコ

(CNN) メキシコの貧しい農村地帯でこのほど、巨大な3Dプリンターでつくった住宅2棟が完工した。世界初となる「3Dプリント住宅街」の完成に一歩踏み出した形だ。

2棟の住宅は単なる試作品ではない。開発業者は2020年末までに50棟の新築住宅を建設して、地元住民が木材や金属、あり合わせの資材で自作した家に置き換えたい考えだ。

入居予定の家族が暮らすのはメキシコ南部タバスコ州の地震地帯で、洪水も頻発する。住宅の設計に当たっては、耐震性を備え、豪雨に見舞われても乾燥を保てる作りにすることを心がけた。

建設を手掛ける非営利団体「ニューストーリー」のブレット・ハグラー最高経営責任者(CEO)兼共同創業者は「こうした家族は最も弱い立場にあり、所得水準も最低レベルだ。平均1日3ドルで暮らしている」と指摘する。

「住まいは文字通り掘っ立て小屋で、雨期に雨が降ると浸水してしまう。水位が膝まで達して何カ月も下がらないと話す女性もいる」

自分たちで建てた家に住む家族/Joe Gonzales
自分たちで建てた家に住む家族/Joe Gonzales

ニューストーリーは仮設住宅を必要とする世帯の支援に取り組む。14年の創設以来、南米とメキシコで2700棟以上を建ててきたが、3Dプリンターを使った住宅建設プロジェクトは初めてだ。

3Dプリンター技術の開発は提携先の建築技術会社「ICON」が担当。入居世帯の募集については、メキシコの非営利団体「エチャレ」が協力している。

現場では巨大プリンターから乾燥時に固まるコンクリート素材を排出し、1層ずつ壁をつくっていく。24時間体制でプリンターを稼働させた場合、数日で一度に2棟を建設できる。

このコンクリート素材は従来のコンクリートに比べて頑丈だという。建物の基礎部分は耐震性を持たせるために補強してある。

完成した平屋根の住宅は米南西部を思わせるデザインだが、壁は丸みを帯びている。約46平方メートルの屋内に寝室2つ、浴室1つ、リビング、キッチンを完備する。

価格は未定。ただ、ニューストーリーは収入の2~3割を負担してもらう方向で各家族と調整を進めている。

3Dプリンターで建設された家の中でくつろぐ家族/Joshua Perez
3Dプリンターで建設された家の中でくつろぐ家族/Joshua Perez

「バルカン2」と名付けられたプリンターの製造はICONが手掛けた。3年間をかけて試作を重ね、プロジェクトに使用可能なプリンターを開発した。

バルカン2は約46平方メートルの住宅2棟の工事を同時並行で進めることができるが、1棟ずつであれば約185平方メートルの家も建設可能だ。

3Dプリンターを使った住宅建設はスピード向上が目覚ましい。ニューストーリーとICONが18年3月に発表した3寝室の住宅の場合、建設に要した時間は48時間だった。

ICONのジェーソン・バラードCEO兼共同創業者はCNNに対し、「1年前に比べ10倍の性能になった」と説明。3Dプリンターは従来の手法に比べて低コストでスピードも速いため、世界を変える大きな可能性を秘めていると指摘する。

国際NGO「ハビタット・フォー・ヒューマニティ」の2015年の調査によると、適切な住居を持たない人の数は世界で約16億人に上る。

問題解決のための技術自体は既に存在するので、あとはこれを住宅弱者向けの家づくりに応用すれば、未来への大きな希望がもたらされるだろう。

バラード氏は「3DプリンティングはSFではない。私たちはSFの世界から現実に足を踏み入れた」「将来的には、最善の価値や理想に届く住宅ソリューションの実現に向け、この技術が人類の最高の希望になるはず」と力を込めた。

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