「世界で最も貧しい大統領」 ウルグアイのホセ・ムヒカ氏死去、89歳 進歩的な改革を実行

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ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領。同氏のオフィスで撮影=2020年10月20日、首都モンテビデオ/Ernesto Ryan/Getty Images

ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領。同氏のオフィスで撮影=2020年10月20日、首都モンテビデオ/Ernesto Ryan/Getty Images

(CNN) 南米ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領が13日、死去した。89歳だった。進歩的な社会改革で知られる左派の象徴だった。

同国のオルシ大統領はX(旧ツイッター)でムヒカ氏の訃報(ふほう)を伝えた。ムヒカ氏と親しかったオルシ氏は「大統領、活動家、指導者、指南役。あなたがいなくなってとてもさみしい。あなたが私たちに与えてくれたすべてのこと、そして国民への深い愛情に感謝する」と哀悼の意を表明した。

ムヒカ氏はゲリラの一員として活動していたこともある。親しみやすく、大統領在任中は質素な生活を送っていたことで知られる。公邸には住まず、人里離れた農場で職務を遂行していたことは有名だ。

農作業中のムヒカ氏=2010年5月21日、モンテビデオ/Ricardo Ceppi/Getty Images
農作業中のムヒカ氏=2010年5月21日、モンテビデオ/Ricardo Ceppi/Getty Images

ムヒカ氏は亡くなる1年以上前からがんを患い、闘病していた。2024年には記者団に対し、できる限り長く闘病を続けると語っていた。

謙虚なリーダー

「ペペ」の愛称で広く知られるムヒカ氏は、1960年代に極左武装組織の指導者として国内で一躍有名になった。同組織はキューバ革命に触発され、60年代から70年代にかけ反政府を掲げて武装蜂起したが、軍事独裁政権下の政府軍によって鎮圧。ムヒカ氏はその後15年近く収監された。

民主主義が回復した後の85年に釈放されたムヒカ氏は4年後に政党を設立し、議会選挙で勝利を重ねた。

大統領在任中の2010年から15年にかけてウルグアイの経済は拡大。中絶や同性婚を合法化したほか、嗜好(しこう)用大麻の使用を世界で初めて国として合法化するなど、革新的な改革を実行した。

質素な暮らしぶりから「世界で最も貧しい大統領」と呼ばれたが、ムヒカ氏はこの呼び名に異議を唱えている。

ムヒカ氏は14年のCNNのインタビューで、「私は貧しい大統領ではない。貧しい人とは、多くのものを必要としている人のことだ」と語った。「生きるのに必要なものはほとんどない。大統領になるずっと前からの生活と同じ生活をしているからだ。今も同じ地域で、同じ暮らしをしている。国民の大半と同じように生きている」

24年4月、ムヒカ氏は食道がんと診断されたことを公表。今年1月には肝臓への転移を明かしていた。

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