グーグル、国防総省との契約更新せず ドローン技術で
ロサンゼルス(CNNMoney) 米グーグルは1日、人工知能(AI)を使い小型無人飛行機(ドローン)による攻撃精度を高める米国防総省の事業への協力を来年3月いっぱいで打ち切るとの方針を明らかにした。
CNNの取材に応じたこの問題の経緯に通じる消息筋によると、契約更新を拒否する方針は同社幹部が従業員に示した。同月までの契約内容は尊重するとしている。「Project Maven」と呼ばれる事業での契約更新の拒否は一般社会や社内での批判を踏まえたものとなっている。
グーグルは現行契約でまた、国防総省による偵察能力の総合的な向上に役立つ機械学習のアルゴリズム開発にも従事していた。
これら国防総省事業への協力については社内の対立を招き、従業員4000人は同社と契約企業は決して戦争技術を構築しないとの請願書に署名。従業員十数人は抗議して退社もした。
消息筋によると、グーグルは近い将来の段階でAIの倫理的側面に関する見解をまとめる予定。
米国内では軍や法執行機関がハイテク企業の技術を生かし偵察任務を改善させる傾向が強まっている。最近ではアマゾンが自らの顔認知技術を法執行機関に供与するとの決定を下し、公民権擁護組織の批判を招いていた。
グーグルによる国防総省との契約更新の拒否を最初に報じた米メディア「ギズモード」によると、当初の契約総額は少なくとも900万ドル。最大で1500万ドルに達する可能性もある。ただ、広報面で苦しい立場に追い込まれる他、社会の進展に奉仕する創造的企業との同社の自負に相反する印象も持たれている。