地球から240億キロ、ボイジャー1号システム復旧に成功 5カ月ぶりに解読可能データ受信

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5カ月ぶりにボイジャーから解読可能データを受信し、歓喜に沸く担当チーム
/NASA/JPL-Caltech via CNN Newsource

5カ月ぶりにボイジャーから解読可能データを受信し、歓喜に沸く担当チーム /NASA/JPL-Caltech via CNN Newsource

240億キロ離れたトラブルシューティング

ボイジャー1号の問題が一つのチップに起因することを突き止めたNASAのチームは、コマンドを送ってコンピューターシステムの再起動を試み、根本原因を探ろうとした。

3月1日にコマンドを送ったところ、同月3日になって、飛行データシステムの一部に、解読不能なデータとは違う挙動があることを発見。この信号は、飛行データシステムが正常に機能しているかどうかを判断するために使っていたそれまでの形式ではなかったものの、NASAのディープスペースネットワークで解読することに成功した。

この内容を調べた結果、問題の原因が判明。飛行データシステムのメモリーの3%が破損していたことが分かった。システムのメモリーの一部を保存していたチップが、同コンピューターのソフトウェアコードの一部も含めて正常に作動していなかった。チップの不具合の原因は不明だが、劣化した可能性や、宇宙空間からのエネルギー粒子が衝突した可能性が考えられるという。

科学データと工学データの解読ができなくなったのは、このチップに保存されていたコードの損失が原因だった。

このチップを修理する手段がなかったことから、同チームはこのチップに保存されていたコードを同システムのメモリーの別の場所に移すことにした。全てのコードを保存できる区画は見つけることができなかったが、コードをセクションに分割して、それぞれ飛行データシステムの別々の場所に保存することに成功した。

計画を進行させるためには、こうしたコードのセクションが引き続き全体として機能することなどを確認する調整作業が必要だったとNASAは説明する。飛行データシステムのメモリーの別の部分で問題のコードの場所を参照している箇所も更新する必要があった。

ボイジャー1号の工学データのパッケージ化に必要なコードを見極めた技術者は、同システムのメモリーの新しい場所を指し示すコードを4月18日に送信。この信号がボイジャー1号に届くまでに約22.5時間、地球に反応が戻ってくるまでにさらに22.5時間を要した。

20日、ボイジャー1号から届いた反応は、コードの修正が成功し、再び解読可能なデータを受信できる状態になったことを表していた。

その瞬間、NASAのジェット推進研究所は拍手と歓声に包まれた。

今後も同システムのソフトウェアの問題が起きた部分を別の場所に移す作業を継続し、数週間後には科学データを受信できる見通し。

「ボイジャーにこれから何が起きるかは分からない。それでも飛行を続けて私たちを驚かせ続けている」「数多くの異常が発生して次第に困難になっている。それでもこれまでのところ、幸運にも復旧できた。ミッションは続く。若いエンジニアがボイジャーチームに加わってその知識を生かし、ミッションを継続させている」。ボイジャーのプロジェクトマネジャー、スザンヌ・ドッド氏はそうコメントしている。

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