火星表面にエベレスト級の巨大火山か、見過ごされていた? 新研究が波紋

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火星にエベレスト級の巨大火山発見?

(CNN) 火星の表面に、奇妙な形をしたエベレストよりも高い巨大火山を発見した可能性がある――。そんな新たな研究結果が発表された。何十年にもわたり見過ごされていたという。

米火星研究所のパスカル・リー所長が今月13日、テキサス州ウッドランズで開催された第55回月惑星科学会議で研究結果を発表した。従来知られていなかった火星火山が見つかった可能性に、惑星科学コミュニティー全体で波紋が広がっている。

今回の研究に興奮が高まる一方、一部からは懐疑的な声も寄せられている。

リー氏はメリーランド大学カレッジパーク校の博士課程で学ぶスーラブ・シュブハム氏と協力して、火星の「ノクティス・ラビリントス(夜の迷宮)」に火山があるのを突き止めた。ノクティス・ラビリントスは火星の赤道付近の地域で、網の目のように峡谷が入り組んでいる。

リー氏によると、この火山は周囲の地形に比べ飛び抜けて高いわけではないため、人工衛星による長年の観測にもかかわらず見過ごされていた可能性があるという。

研究チームの説が正しければ、火星の地質に関する科学者の理解にとって大きな意味を持つ可能性がある。今回の発見が一助となり、水の氷や生命の兆候を探す将来の探査ミッションがこの地域に向かうことになればと、リー氏は期待を寄せている。

当初、研究チームの取り組みは2023年3月に発表された研究結果につながった。塩の堆積(たいせき)物に覆われた巨大氷河がノクティス・ラビリントス地域に存在する可能性を示唆する内容だった。

それ以来、リー氏とシュブハム氏は米航空宇宙局(NASA)の火星周回探査機「マーズ・リコネサンス・オービター」で収集されたデータを精査し、塩の下に凍った水が残っている可能性がないか突き止めようと試みていた。

だが、地形を詳しく調査していた際、リー氏は「氷河の隣を流れる小さな溶岩流」に驚かされた。

溶岩が酸化していれば、周囲の地表と同じ赤茶けた色になるはずだったが、まだ完全には酸化していなかった。

これは溶岩が比較的新しいことを示唆していた。まだ見ぬ火山が付近に潜んでいる可能性を示す最初の兆候だった。

「注意深く地形を観察し始めた」とリー氏。「すると予想通り、この地域の標高の高い地点を複数調べたところ、弧を形成していることが分かった」

この弧は地球にも存在する盾状火山を想起させると、リー氏は言い添えた。盾状火山は広く緩やかに傾斜する斜面が特徴で、高さよりも幅が目立つ。

この発見をきっかけに、リー氏とシュブハム氏はさらなる証拠を収集し、標高9022メートルの山頂が実際に火山の先端部であることを突き止めた。

海抜8848メートルのエベレストに比べ、数百メートル高い計算になる。

リー氏とシュブハム氏は現在、研究結果を査読論文にまとめる作業に取り組んでいる。より詳細な成果を出せれば、科学界全体で今回の説への信頼度が増す可能性がある。

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