1匹でホホジロザメを仕留めるシャチ、生態学的な変化の兆候か 南ア

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南ア・ハーテンボス近くの海岸に打ち上げられたホホジロザメの死骸/Christiaan Stopforth/Drone Fanatics SA

南ア・ハーテンボス近くの海岸に打ち上げられたホホジロザメの死骸/Christiaan Stopforth/Drone Fanatics SA

論文が詳述する事象は昨年6月18日、ケープタウンから東へ約400キロに位置するモーセル・ベイの近くに浮かぶシール島の沖合800メートルで発生した。その時、研究者や観光客が2隻の船舶に乗り、シャチを観察していた。

到着から1時間もしないうちに、1匹のサメが海面に浮上。人々はスターボードがサメの左の胸びれを捕らえているのを目にした。スターボードはサメに何度か突っ込み、最終的にはその内臓を引っ張り出した。そこまで2分とかからなかったと、論文は記録する。

その後、船舶の1隻から「血にまみれた桃色の肝臓を口にくわえた」スターボードの写真が撮影された。スターボードの仲間で雄のポートも100メートルほど離れたところで目撃されたが、こちらは狩りには関わらなかった。

2匹は論文執筆者らの間ではよく知られたシャチで、ナミビアまでに至る南ア東部の海岸線一帯を泳いでいるとみられる。15年にホホジロザメを標的にし始めたと考えられているが、タウナー氏によれば、22年になって初めて実際に複数のシャチがホホジロザメを狩る様子が空撮された。

シャチが1匹でホホジロザメを殺せたのは、相手が若い個体で比較的体が小さかったからかもしれないと論文は指摘する。成体のホホジロザメの体長は最大で6.5メートル。体重は2.5トンに達する。

攻撃の迅速さには、捕食者としてのスターボードの技量と効率性が表れているとみられる。論文が示唆するところによれば、そうした要素は狩りに時間をかけることのストレスへの対応かもしれない。狩りをする近くの海岸線は、人間が多く生活する地域ともなっている。

南ア・ステレンボッシュ大学の研究員で、海洋研究機関「シー・サーチ」の創設にも携わったサイモン・エルウェン博士はシャチについて、新たな狩りの技術を自ら、あるいは他の個体からすぐに学ぶことができると説明。南アにおけるシャチの行動を観察し、理解することは、この動物の知見を深める上で重要な役割を果たすと語った。

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