1匹でホホジロザメを仕留めるシャチ、生態学的な変化の兆候か 南ア

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昨年6月、南ア沖で撮影されたシャチが単独でホホジロザメを狩る様子を捉えた画像/Christiaan Stopforth/Drone Fanatics SA

昨年6月、南ア沖で撮影されたシャチが単独でホホジロザメを狩る様子を捉えた画像/Christiaan Stopforth/Drone Fanatics SA

(CNN) 1組のシャチが連携してホホジロザメの息の根を止める。南アフリカの沿岸では、少なくとも2017年からこうした光景が繰り広げられている。シャチたちは栄養が豊富なサメの肝臓だけを奪い、残りは捨てる。

科学者たちはかねて、シャチによる狩りの手法の解明を試みてきた。シャチに追われる形で、ケープタウン周辺の沿岸の一部からはサメの姿が消えた。

科学者らは昨年、スターボードの名で知られる雄のシャチが体長2.5メートルの若いホホジロザメを2分足らずで仕留める様子を船上から観察した。伊シエナ大学のサメ研究センターに在籍する海洋生物学者、プリモ・ミカレッリ博士は声明で、「これらの捕食者たちには畏敬(いけい)の念を抱くものの、沿岸部の海洋生態系のバランスに対する懸念は一段と深まっている」と語った。

高度な知能と社会性を有するシャチが大型の動物を単独で狩る行動自体は、前例のないものではない。しかし世界最大の捕食者の部類に入るホホジロザメが絡んだ例はこれまで確認されていなかった。研究者らが1日刊行の海洋科学誌で報告した。

スターボードの狩りの手法は、これまで広く観察されてきた複数のシャチが協力して獲物を囲んで襲う形とは異なる。研究によれば、以前はホホジロザメを襲う場合も2~6匹が関与し、最長で2時間かけて仕留める様子が観察されていた。

今回の研究論文の筆頭著者を務めた南ア・ローズ大学の研究者、アリソン・タウナー氏は、単独での狩りについて、シャチの補食行動に対する画期的な洞察と指摘。サメを狩るシャチの存在が、より広範な生態系力学へと結びつく可能性があるとの見解を示した。

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