冥王星に連なる火山地帯、「氷の噴火」で巨大ドーム形成

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
NASAのニューホライズンズによって撮影された冥王星の火山地域。青色は過去の火山活動の過程がみられる場所/NASA/JHU Applied Physics Laboratory/SRI/Isaac Herrera/Kelsi Singer

NASAのニューホライズンズによって撮影された冥王星の火山地域。青色は過去の火山活動の過程がみられる場所/NASA/JHU Applied Physics Laboratory/SRI/Isaac Herrera/Kelsi Singer

シンガー氏によると、画像に映ったドームの中には、互いに融合してさらに大きな山脈を形成しているものもあった。それを作り出したのが氷の火山だった。

氷の火山は太陽系の別の場所でも観測されており、物質を地下から地上へと押し上げて新たな地形を形成する。冥王星では水が地表に押し上げられて、たちまち氷になっていた。

その様子は、太陽系の別の場所にあるどの氷の火山とも、岩石の火山とも、大きく異なっていたとシンガー氏は解説する。「山々が形成されているが、山頂にカルデラはなく、至る所に大きなへこみがある」

冥王星の地表全体に点在する衝突クレーターが、この場所にはないことも分かった。シンガー氏によると、これは氷の火山が比較的最近まで活動していたことや、冥王星の内部に予想以上の余熱があることをうかがわせる。

氷の火山は1億年~2億年前まで活動していたと思われるとシンガー氏は話し、地質学ではこれは非常に若い年代に分類されると言い添えた。

冥王星の氷の火山噴火は、想像とはやや異なるようだ。「氷と水が入り混じった歯磨き粉のような物質が、火口から冥王星の地表に流れ出す」「冥王星の地表があまりに寒いので、液体の水が長くその状態を保つことはできない。この場合、物質の流れが巨大なドームを形成し、この地帯の至る所で見られるでこぼこの地形を形成した」(シンガー氏)

ニューホライズンズがこの地帯の上空を飛行した際は、活動中の氷の火山は発見できなかった。しかしこの場所は1日ほどしか観察できておらず、今も活動中の氷の火山が存在する可能性はある。

「地球上の火山のように、しばらく休眠状態にあって、それから再び活発になる可能性もある」とシンガー氏は言う。

冥王星の地下には、かつて海が存在していた。氷の火山の存在は、地下の海が今も存在している可能性や、地表近くに液体の水がある可能性を示唆している。加えて冥王星の内部がこれまで考えられていたよりも温かいとすれば、生命存在の可能性についての問いが浮上する。

「サイエンス」のニュース

Video

Photo

注目ニュース

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]