南アのサイ密猟1000頭超 アジアでの角需要増加で
(CNN) 南アフリカの環境省は19日までに、同国内で昨年、密猟などの違法行為で殺されたサイは1004頭に達し、前年の668頭から激増したと報告した。大半の密猟はクルーガー国立公園内で起きていた。
背景には中国やベトナムなどでサイの角の需要が高まっているとの見方がある。アジアでは、角はがん、糖尿病などの治療薬となり、二日酔いの回復にも効くとの見方も一部定着している。
サイの生息数で世界最多の南アにはシロサイとクロサイがいる。サイの保護団体によると、世界規模で確認されているアフリカのサイの個体数は飼育分などを含め2万5000頭で、過半数は南アにいる。クロサイは深刻な絶滅の危機にあるともされる。
密猟を行う犯罪組織は軍用ヘリコプター、暗視装置や消音装置付きの銃も用いる新たな手口でサイ殺害に走り、保護団体は対策に窮している。
ケニアと南アは無人偵察機や探知犬の活用、治安強化などに関心を示しているが、殺害されるサイの頭数拡大を阻止出来ないでいる。
サイの角の取引は麻薬よりもうかるとの見方もある。1キロ当たりは約2万ドル(約208万円)相当とされる。角1個の重さは約10キロとなっている。
米国内では最近、アフリカのナミビアでのクロサイ1頭の狩猟許可証の競売が催され、男性が35万ドルで落札していた。収益は全額、クロサイ保護活動資金への寄付と銘打たれたが、男性は殺害予告の脅迫も受ける事態に直面している。