「これで終わりではない」、打倒テスラ運動続く マスク氏のDOGE離脱後も
(CNN) 米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は「政府効率化省(DOGE)」を率いる役割から身を引き、今週は大型減税法案を巡りトランプ大統領と全面衝突したが、マスク氏に対する抗議デモは続いている。
マスク氏は昨年の大統領選でトランプ陣営の支援に2億8800万ドル(現在のレートで約417億2000万円)を投じた。連邦政府のコスト削減プロジェクト「DOGE」から離脱を表明して間もなく、今度はトランプ氏肝いりの法案を「不快で忌まわしい」と酷評。応酬の中で、トランプ氏はマスク氏率いる企業との連邦政府の契約打ち切りを示唆し、マスク氏は「自分がいなければトランプ氏は選挙に敗れていただろう」と主張した。
反マスク感情はテスラのショールーム前の歩道にも広がり、7日にはフロリダ州デルレイビーチ、ケンタッキー州ルイビル、ジョージア州ディケーターなどの都市で60件のデモが予定されている。マスク氏のDOGEへの関与を巡って2月半ばに始まった「テスラを倒せ」運動の一環だ。
首都ワシントンのジョージタウン地区では米東部時間午前11時半、雨の中、テスラのショールーム前におよそ30人のデモ参加者が集まっていた。
デモを共同で主催したメリッサ・クヌートソン氏とサラ・ステフェンズ氏によれば、今回の「テスラを倒せ」イベントへの参加者は先週メリーランド州ロックビルに集まった約200人を大きく下回った。天候とプライド月間の行事が影響したという。
クヌートソン氏はCNNの取材に、「(マスク氏が)尻尾を巻いて家に帰ったからといって、これで終わりではない」と語った。

販売店に並ぶテスラの「サイバートラック」=4月2日、カリフォルニア州/Justin Sullivan/Getty Images
公式サイトによると、「テスラを倒せ」運動は人々に「テスラ車を売り、株を手放し、ピケに加わる」よう呼び掛ける内容。「マスク氏を止めることが命を救い、民主主義を守ることにつながる」との信念を打ち出している。
テスラの販売台数は今年1~3月期に13%急落し、過去最大の落ち込みを記録した。テスラの株価は今週約14%下落し、昨年12月18日に付けた488ドル54セントの過去最高値から47%近く下げている。
ステフェンズ氏は今週のテスラ株急落を見て「本当に勇気づけられた」と語り、「現状がまったく正常でないことの表れだ」との見方を示した。
マスク氏は販売減少の要因は経済全体の弱さと消費者の不透明感にあると指摘するが、競合するEVモデルや他の自動車企業の販売台数は増えている。

テスラ車を視察後のマスク氏とトランプ大統領=3月11日、ホワイトハウス/Justin Sullivan/Getty Images
CNNはテスラや、「テスラを倒せ」運動の当初の主導者の一人、アレックス・ウィンター氏にコメントを求めたものの、回答は得られていない。