ハーレーダビッドソン、多様性進める施策を撤回へ 右派からの反DEI運動受け
ニューヨーク(CNN) 米二輪車大手ハーレーダビッドソンは19日、多様性など進歩主義的な概念に基づく施策を終了すると明らかにした。米国の有名ブランドの間では、近年支持してきたDEI(多様性、公平性、包摂性)を重視する施策を撤回する動きが相次いでいる。
ハーレーはかねてネット上で保守派の活動家、ロビー・スターバック氏から圧力を受けていた。同氏は複数の米企業に対し、DEI絡みの施策を撤回させることに成功している。
ハーレーはX(旧ツイッター)に投稿した声明で、ここ数週間のソーシャルメディアでのネガティブな動きを悲しく思っていると説明。これは同社のコミュニティーを分断するためのものだとの見方を示した。
その上で、DEIに関する施策は今年4月以降現在に至るまで行われておらず、従業員の一定の枠を女性に割り当てるクオータ制やサプライヤーの多様化を進める取り組みも打ち切るとしている。
さらに同社が手掛けるスポンサー事業や提携する団体についても今後関係を承認するかどうか全て再検討する意向を示した。性的少数者のイベントなどを支援する一部のスポンサー事業に関しては、ブランドとして二輪車の振興のみに注力するとの判断に基づき撤退する考えを示唆した。
主要な性的少数者の擁護団体、ヒューマン・ライツ・キャンペーンとの関係も終了するとしつつ、「引き続き、我が社のコミュニティーに携わる全てのメンバーの声に耳を傾けることを約束する」と述べた。
スターバック氏は先月23日、ハーレーに関して初めてソーシャルメディアに投稿。約20の事例を挙げて、同社が「完全にウォーク(政治的に覚醒して社会正義を実現しようとする考え方)に染まった」と主張していた。具体的には性的少数者の起業家向けのイベントに対するスポンサー事業や、ライダーの裾野を広げる目的での従業員の多様性拡大などに言及した。
米起業家のイーロン・マスク氏や右派の指導者らはスターバック氏の投稿に同調した。
ハーレーはCNNへのコメントを控えた。
スターバック氏は19日、Xへの投稿で「我々の運動の勝利」を宣言。さらに別の企業を標的にする考えを示唆した。