ANALYSIS

中国EV大手BYD、メキシコで工場建設を検討 米市場参入への足掛かりとなるか

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タクシー運営会社ベモが運用する比亜迪(BYD)の電気自動車=2023年11月、メキシコ市/Mariceu Ethrall/Bloomberg/Getty Images

タクシー運営会社ベモが運用する比亜迪(BYD)の電気自動車=2023年11月、メキシコ市/Mariceu Ethrall/Bloomberg/Getty Images

グローバル展開

王伝福氏が創業したBYDは、まず中国国内でバッテリーメーカーとしての評判を確立してから、海外に進出した。

初の海外進出は1998年で、オランダのロッテルダムに初の海外子会社を設立。そこに欧州本社を設置して、バッテリーの輸入を開始した。

これはBYDの創業からわずか3年後のことだったが、同社が欧州で自動車販売を開始したのはその約14年後のことだ。同社は2012年に電気バス、フォークリフト、タクシーを発売した。

中国の一部の同業他社とは異なり、BYDは「当初は海外販売を優先していなかった」とルッソ氏は指摘する。

その代わり、中国での販売競争で勝利することに注力し、国内で長年業界トップに君臨していたテスラに一泡吹かせることに成功した。

昨年、BYDは中国で最も売れた自動車メーカーとなった。価格は最も安いモデルで1万1000ドル(約160万円)から。

ルッソ氏はCNNに対し、「BYDは現在、方針転換を行っている。成長するためには海外販売を優先しなければならない段階に達しているからだろう」と語った。

この変化は数字にも反映されている。BYDの拠点は、20年の50カ国以上から現在は70カ国以上に拡大。同社は、電気バスを生産するカリフォルニアやブラジルなどの既存の海外生産拠点に加え、インドネシアやタイ、ウズベキスタンでの新工場の建設計画を急速に進めている。

22年上半期には、中国市場(中国本土、マカオ、香港、台湾)の顧客が40%を占めていた。

最新の中間年次報告書によると、1年後にはその割合が33%に縮小した。

BYDは自動車輸出で急成長を記録し、昨年の輸出台数は334%増の24万3000台弱だった。

こうした急成長により、中国は23年に日本を抜いて、世界最大の自動車輸出国になる可能性が高い。

だが、海外市場での成長が続くBYDは、より現地に根ざしたアプローチを取る必要があるとアナリストらは指摘する。

消費者の財布のひもを緩めるだけでなく、政治家の心もつかむには、主要市場の近くに工場を建設することが重要となる。

それによって、地元で雇用を創出する意欲があることを示すことになり、同社への好感度向上につながる。「結果として、その地域の政府からより有利に扱ってもらえる可能性がある。地政学は重要な検討要素だ」(ルッソ氏)

本稿はCNNのミシェル・トー記者による分析記事です。

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