ESG投資信託とは何か? 公平で持続可能な企業へ投資する方法
(CNN) 気候変動、不平等、社会不安など、今日の世界には考慮すべき問題が山積している。そのため投資をする際には、環境的に持続可能で、社会的に公平で、倫理的な方法でビジネスを目指す企業にのみ投資したいと考えるかもしれない。
あるいは、気候変動や社会的不平等がもたらす非常に現実的なビジネスリスクから、自社の収益を守るための措置を講じている企業に投資したいと思うかもしれない。
いずれにせよ、損失は出したくないために、長期的に優位なリターンを得られる投資をしたいと考えるだろう。これが、いわゆるESG投資信託が取ろうとしているバランスである。
ESGは、環境、社会、ガバナンス(企業統治)の頭文字を取ったもので、これらの分野が抱える問題はすべて、上場企業やそのステークホルダー(投資家、顧客、従業員、事業展開する地域社会など)が直面するものだ。
需要の増加により、現在では10年前よりもはるかに多くのESGファンドが存在している。JUSTキャピタルがパートナー企業と行った最近の調査では、「圧倒的多数の米国人が、米大企業の人的資本と環境への影響に関する指標の公開を支持しており、標準化された情報開示を求める連邦政府の行動を支持している」ことが明らかになった。
ESGファンドとは何か?
投資家の多くは、企業が掲げるESG目標への取り組みを個々に精査することはせず、ESG投資信託にその業務を委託している。
だがESGファンドには大小さまざまな違いがあり、すべてのファンドが自分自身の環境、社会、ガバナンスに関する最大の懸念事項に沿うとは限らない。
モーニングスター・リサーチ・サービスLLCのサステナビリティー(持続可能性)アナリスト、アリッサ・スタンキーウィッツ氏は「ESGは非常に多くの多様な人々にとって、非常に多くの異なる意味を持つ」と説明した。
それゆえ、ESGファンドに投資する前に、少なくともファンドの目論見書にある投資戦略のページを読み、投資の優先事項を確認するよう同氏は勧めている。
ファンドマネジャーが企業を評価する際や、企業がESGの約束をして自社を評価する際に使う、単一のESG指標は存在しないことも知っておく必要がある。
また、ファンドマネジャーがポートフォリオに何を含めるかを決定する際に、ESGの3つの要素すべてに等しく重点を置くとは限らない。
環境問題は社会問題よりも重視されている可能性が高い。スタンキーウィッツ氏によると、社会問題よりも環境問題に関する指標のほうが広い合意が取れており、データも入手しやすいという。「これは異なる市場、文化、規制環境に関係していると思う」と同氏は述べた。
スタンキーウィッツ氏はまた、あらゆる潜在的な社会問題のうち、取締役会における多様性はおそらく最も広く受け入れられている指標だが、それでも、多様性をどう定義し、目標をどこに設定するかで市場ごとに差が出る可能性があると指摘している。
米証券取引委員会(SEC)は3月21日、米企業の気候変動に関する情報開示を標準化し、公約を達成できなかった企業に対する責任を定める規則を提案した。
コーウェン・ワシントン・リサーチ・グループのマネージング・ディレクター、ジャレット・サイバーグ氏は、顧客向け文書の中で、「今後数年間で、社会正義とガバナンスに取り組む新たなESGの提案や、ESGを求める資産運用会社がさらに増えることを期待している」と述べたうえで、「標準化された情報開示によって、投資家は上場企業の業績を比較できるようになり、投資家の利益になる」と説明した。
パフォーマンスには競争力がある
ファンドのポートフォリオが環境、社会、ガバナンス問題に配慮しているからといって、投資家が利益を犠牲にしないといけない、というわけではない。
「ほとんどのESGファンドは、環境的、社会的リスクが企業の損益に与える影響を軽減するという観点からデータを見ている」とスタンキーウィッツ氏は述べている。
実際、ESGファンドの多くは競争力のあるリターンを実現できることを示しており、モーニングスターによると、昨年は50%強がピア・グループ分類の上位に入ったという。
ESGファンドの優劣を決めるランキングは、何を最も重要な指標とするかによって変わってくる。だが、モーニングスターの基準でトップのESGファンドになるということは、ESGの懸念事項が、ファンドの戦略やファンドマネジャーの意思決定において中心的な役割を果たしていることを指す。言い換えれば、ESGは単なる口先だけの宣伝文句ではないということ。また、ファンドのESG目標が目論見書に明示されていることを意味する。
モーニングスターは次にパフォーマンスも考慮し、大型ブレンドや課税債などのカテゴリーでパフォーマンスが上回る可能性を見ている。
最新のリストでは、ESGへの取り組みレベル別に分類された17本のファンドが特定されている。このうち12本の利益は昨年、ピア・グループの上位半分に入った。その中でも、戦略とマネジャー項目の両レベルでESGへの取り組みが際立っていたのは、パルナサス・コア・エクイティ、カルバート・エクイティ、パックス・グローバル・オポチュニティーズ、TIAA―CREFコア・インパクト・ボンドの4ファンド。