新型肺炎、世界の海運にも打撃 入港できず積み荷は海上に漂う
ロンドン(CNN Business) 中国湖北省で発生した新型コロナウイルスの感染拡大が広がるなか、世界の海運業にも影響が及んでいる。
中国からの積み荷を世界へと運んでいる運送業者によれば、新型コロナウイルスの拡大を阻止するための取り組みが海上輸送に対する需要に影響を及ぼしているほか、世界のサプライチェーンに混乱を引き起こす脅威ともなっているなかで、海上輸送のための船舶の数が減少している。
国際連合貿易開発会議(UNCTAD)によれば、世界の貿易量の約80%が海上輸送であり、世界で最も取引量の多いコンテナ港の上位10カ所のうち7カ所が中国の港だ。
国際的な海運業の協議会である「BIMCO」のアナリストは、世界の製造業の中心地である中国の閉鎖はコンテナ輸送全体に打撃となると指摘。多くの産業に影響が及び、コンテナで輸送する物品への需要も抑制されるとの見方を示す。
自動車や機械類、アパレル、その他の生活必需品がコンテナで運ばれる。中国は新型コロナウイルス封じ込めに向けて、工場の操業停止や従業員の自宅待機を行っている。
新型コロナウイルスの危機が長引けば、物品の輸送がさらに難しくなりそうだ。
韓国の自動車メーカー、現代自動車は部品供給に支障が出たことなどから国内の工場の操業を停止した。
国際海運会議所(ICS)によれば、操業停止は一部の船舶が中国の港に入れないことにつながり、荷揚げや荷下ろしが遅れることになる。整備や修理のための作業員が戻るまでドック入りし続ける船もあるという。