(CNN) 気温が上がる季節となり、米国民の新型コロナワクチン接種率が伸びていく中、ワクチンを接種してもなお屋外でマスクを着用する必要があるのかどうか、疑問に思う人が増えている。
CNNで医療ニュースを担当するサンジェイ・グプタ医師は22日、番組内でこの疑問に触れ、ワクチンを接種しているのであれば「ほとんどの場合において、屋外でマスクを着ける必要はない」と述べた。
ウイルス感染の多くは屋外では起こらないというのがその理由だ。
感染症の学術誌に昨年11月掲載された報告によると、ウイルスに感染する可能性は屋内の方が屋外よりも18.7倍高くなる。また調査対象とした新型コロナの感染のうち、屋外で起きたものは10%に満たなかったという。
米疾病対策センター(CDC)の現行の指針でも、「周囲に人がいない状況もしくは家で一緒に過ごしている人の近くであれば」マスクは屋外では必要ないかもしれないと明記している。ワクチン接種者に関する具体的な記述はない。
CDCのロシェル・ワレンスキー所長は22日、マスク着用に関する指針の見直しを検討していると明らかにした。
新型コロナをめぐる議論の大半と同様に、屋外でマスクを着用するべきかどうかについては明確な線引きが存在しないのが実情だ。それはワクチン接種の有無や地域の感染状況など様々な要因に基づくとされる。
バージニア工科大学に籍を置くウイルスの空気感染の専門家、リンジー・マー氏は、CNNへの電子メールで「もしワクチンを接種済みで、重症化しやすい部類に属さないのであれば、屋外ではマスクなしでもいいだろう」と述べた。
またワクチンを接種していない人については、バーにいるときや列に並んでいる場合など多くの人が近くにいる状況下ではマスクをした方がいいと指摘した。
前出のグプタ医師は、「基本的には他人の息を吸い込む可能性がどれだけあるかを考えればいい」と説明。「その場の人数や状況、地域でどのくらい感染が広がっているか」が判断材料になると語った。
ブラウン大学公衆衛生大学院のアシシュ・ジャー学部長は18日、CNNの番組で、各州が実施する屋外でのマスク着用義務化について、「向こう2、3週間のうちに解除され始めるとみている」と述べた。ただ感染の大半は屋内で発生しているため、屋内でのマスク着用義務はそれよりも長く続くだろうとの認識を示した。
テキサス州やアラバマ州など一部の州ではすでに州レベルでのマスク着用義務化を撤回している。その他の州でも、屋外でのマスク着用については規制を緩和する計画が発表されている。