米中間選挙の結果、7つのポイント

米中間選挙の結果、7つの注目ポイントとは/Kenneth Fowler/CNN

2018.11.07 Wed posted at 19:40 JST

(CNN) 米中間選挙が6日に投開票された。大勢が判明したところで、その結果を7つのポイントにまとめた。

中間選挙の大筋は、世論調査の予想とほぼ同じ結果になった。野党・民主党は都市近郊の女性票に狙いを定めた作戦が功を奏し、下院の過半数を奪還。与党・共和党は上院で予想通り過半数を維持した。

知事選では民主党がミシガン、イリノイ、さらにはカンザス州を制する一方、大きな注目を集めたフロリダ、オハイオ両州ではいずれも共和党候補が当選した。

1.民主党の女性候補、下院で旋風

下院民主党は過半数の奪還に向け、全米各地で多くの女性候補を擁立。医療制度や減税などを争点に、都市近郊の女性有権者を巻き込んだ。この作戦が間違っていなかったことは明らかだ。

出口調査の暫定集計をみると、投票者の52%を女性が占め、中でも民主党候補に票を入れた女性が多かった。

結果として下院では、女性議員の数が史上初めて100人を超える見通しとなった。

2020年の大統領選で民主党が女性候補を指名すれば、トランプ大統領との対決を有利に運ぶことができるかもしれない。

出口調査では全体の4割近くがトランプ大統領への反対票として票を投じたと回答

2.トランプ氏への信任投票

中間選挙をトランプ氏への信任投票と位置付けるかどうか、同氏自身の発言は揺れていた。応援演説で「この候補への投票は私への票だ」と訴えたかと思うと、「候補者名簿に私の名前はない」と語り、共和党がどうなっても責任は取れないと強調することもあった。

だが6日の出口調査では、トランプ氏への賛否を表明するために投票した人が3分の2を占め、全体の4割近くは反対票を入れたと答えた。

ただし、中間選挙が大統領の信任投票と位置付けられ、しかも不信任の意見が強くなりがちなのは、歴代政権でもみられた現象で、トランプ氏に限った話ではない。

上院が共和党、下院が民主党という「ねじれ議会」は、賛否が激しく分かれるトランプ氏らしい結果ともいえる。親トランプ派は「トランプ氏がいなければ共和党は上院も失っていた」と主張し、反トランプ派は「トランプ氏のせいで共和党は下院を失った」との説を唱えるだろう。

3.共和党で光ったマコーネル氏の政治手腕

今年の夏には一時期、民主党が上院を制する可能性も取りざたされていた。しかし共和党のマコーネル上院院内総務は少しもあわてずに党をまとめ、接戦が伝えられたテネシー、テキサス両州で現有議席を維持したうえ、フロリダ、インディアナ、ノースダコタ各州で民主党現職から議席を奪うという快挙に持ち込んだ。

上院選はもともと、改選議席の分布が民主党26、共和党9と差があり、共和党が有利とされてきた。それでも、世論の支持が民主党に傾くなかで共和党が議席を増やすことは、ほんの1カ月前まで不可能に近いと思われていた。

オハイオ州の上院選は、民主党の現職ブラウン氏が制した

4.民主党に響くブラウン上院議員の声

オハイオ州の上院選では、民主党の現職ブラウン氏が予想通り3選を果たした。同州は16年大統領選で、トランプ氏が8ポイント差で勝利した土地だ。

大統領選では中西部の票がトランプ氏を勝利に導いたことを考えると、ブラウン氏の勝利は民主党にとって、20年大統領選へのひとつの指針となりそうだ。

ブラウン氏は勝利演説で「全米の目を中西部の工業地帯、五大湖沿岸州へ向けさせよう。我々が全ての労働者にどれほど敬意を払っているかを、全米に知らせよう。これが18年のオハイオからのメッセージであり、20年に向けた我が国の青写真だ」と訴えた。

5.すでに始まった20年大統領選

20年大統領選といえば、上院選で勝利した民主党の現職、ニューヨーク州のジリブランド、ミネソタ州のクロブチャー両氏は今後、すでに蓄えている多額の資金を背景に、大統領選出馬を目指すことが確実視される。

クロブチャー氏はブラウン氏と同様に中西部で勝てる候補として、ジリブランド氏は女性のために戦うリベラル議員として、それぞれ自身を売り込んでいくことになるだろう。

テキサス州上院選で敗れた民主党のオルーク氏。大統領選出馬の可能性も?

6.民主党、期待の新星は全敗

民主党支持者が地元の候補以外に注目していた期待の星といえば、フロリダ州初の黒人知事を目指したギラム氏、ジョージア州で米国初の黒人女性知事を目指したエイブラムス氏と、テキサス州上院選のオルーク氏が挙げられるだろう。だが3人とも敗れる結果となった。

3人の空白はいずれ、民主党から出てくるほかの新星が埋めることになるだろう。ミシガン州知事選で当選した女性のホイットマー氏、同性愛者と公言した初の知事となるコロラド州のポリス氏らが注目される。

オルーク氏も今回の善戦を踏まえ、改めて大統領選に出馬する可能性がある。

7.注目の知事選は共和党に軍配

民主党が期待をかけていたフロリダ州とオハイオ州の知事選は共和党が制した。どちらも大統領選の激戦区として知られる州だ。

大統領選に向けた選挙戦では、激戦州の知事を味方につけていることが大きな意味を持つ。21年に予定される各州の選挙区改正は、共和党に有利な結果となることが予想される。

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