ロシアが「ドアノブへの神経剤塗布を試験」 英首相補佐官

神経剤が最も高濃度の状態で発見されたのは自宅の正面玄関だった

2018.04.14 Sat posted at 13:54 JST

ロンドン(CNN) 英南西部ソールズベリーで起きたロシア人元スパイらの襲撃事件に関連し、マーク・セドウィル英首相補佐官(国家安全保障担当)は13日、ロシアが神経剤の使用方法を調査するプログラムでドアノブに神経剤を塗布する方法などを試しており、事件にはロシアが関与した可能性が「非常に高い」と指摘する報告をまとめた。

北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長に充てた書簡で述べた。

事件では3月4日、ロシア人元スパイのセルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリア氏が神経剤による襲撃を受け、入院した。警察は2人がセルゲイ氏の自宅で初めて神経剤に接触したとみている。神経剤が最も高濃度の状態で発見されたのは正面玄関だった。

ユリア氏は今週退院したものの、現在の滞在先は公表されていない。セルゲイ氏は依然入院中だが、重体は脱している。

セドウィル氏は書簡の中で、襲撃事件に関して妥当な説明は他に存在しないと言及。「技術的な手段や実施に関する経験、動機を持っているのはロシアだけだ」とした。

神経剤による攻撃を受けたセルゲイ・スクリパリ氏(左)と娘のユリア氏

また、旧ソ連が1980年代に第4世代神経剤「ノビチョク」を開発した経緯も示し、旧ソ連構成国で独立後も「攻撃目的の化学兵器プログラム」を進めていたのは恐らくロシアだけだとしている。国家以外が製造、利用することは考えにくいとも指摘する。

さらに、ロシアが戦争用の化学剤の使用法を試験し、人的訓練を行うプログラムにも触れ、「直近10年間でロシアは少量のノビチョクを製造、貯蔵していた」とも言及した。

ロシアは事件への関与を全面否定。一方、英国側はロシア政府の関与を主張しており、両国間で外交対立に発展している。

ロシア外務省のザハロワ報道官は12日の声明で、「ロシアの専門家が被害者への接触や、化学兵器禁止機関(OPCW)の報告書で言及されている物質へのアクセスが認められない限り、スクリパリ氏の件に関するいかなる結論も信用しない」と主張した。

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