1万1000年前に気候変動、人類を襲った100年の寒波

英イングランドのノースヨークシャーにあるスターカー遺跡

2018.03.27 Tue posted at 12:24 JST

(CNN) 今から1万1000年前の中石器時代に大きな気候変動があり、人類の祖先が突然の寒波に襲われていたことが、英イングランドのノースヨークシャーにあるスターカー遺跡の調査で明らかになった。

寒波はその後100年続いたにもかかわらず、当時の狩猟採集民はその地で生き延びることができたという。英ロンドン大学などの研究チームが26日の学術誌に発表した。

人類の祖先が突然の気候変動にどう対応したかを探ることは、違う種類の気候変動に直面している人類にとっての鍵になるかもしれないと研究チームは指摘している。

スターカー遺跡の調査では、9300年前と1万1100年前に気候の大変動があり、気温が10度および4度低下していたことが分かった。

ロンドン大学ロイヤルホロウェイの研究者イアン・キャンディー氏は、「最後の氷河期の後、早くから英国に再定住していたスターカーの人たちは、そうした環境的ストレスにもかかわらず、安定した社会を維持していた」と解説する。

「狩猟採集民は、自然資源の利用に関するスキルや知識が豊富だった。避難場所や住戸を作ることができ、狩りや釣り、植物の採集を行っていた。強い寒波で生活環境が厳しくなっても、構造物と焚き火で暖を取り、アカシカなどの動物も利用していたと思われる」(同氏)

アカシカの角で作ったかぶりもの。スターカー遺跡で見つかった

気温は夏も冬も低下し、森林環境にも影響が及んで不安定性が増した。

スターカーには狩猟採集民が多数定住していたが、寒波に見舞われても生活様式を変えることはなく、別の場所に移動することもなかったという。

寒波を生き延びられた一つの要因として、同地に生息していたアカシカは気候変動の影響を受けなかったため、毛皮や肉を利用することができたと研究チームは解説している。

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