米議会で横行するセクハラ、要注意人物のリストも出回る

米議会で横行するセクハラの実態について、CNNが50人以上に取材した

2017.11.15 Wed posted at 19:12 JST

(CNN) 米国の映画界やメディアの著名人によるセクハラ行為が次々と告発されるなか、連邦議会でも党派を問わず、セクハラが横行していることが分かってきた。CNNはこのほど議員やスタッフ、同経験者ら50人以上に取材して、その実態に迫った。

取材に応じた議員やスタッフの大半は、発言の影響を恐れて匿名を希望している。ほぼ全員がセクハラを受けたことがある、または受けた人を知っていると答えた。

ある女性議員はCNNに、複数の同僚議員から長年、何回もセクハラを受けてきたと語ったが、詳細は明かさなかった。男性議員の半数はセクハラ加害者だ、と話してからすぐに「言い過ぎ」だったと撤回し、該当者は数人だと言い直した。

議事堂のエレベーターがセクハラの温床になっているとの声は、複数の女性から上がった。エレベーターの中で男性と自分だけにならないよう、気をつけたほうがいいと忠告された女性も多い。

議会特有の事情もセクハラの横行に拍車をかけている。男性議員の多くが平日は地元に妻子を残してワシントンに滞在し、深夜まで仕事をしたり、酒の席に出たりする。スタッフは若い女性が多く、事務所に寝泊まりする議員もいる。「よく働き、よく遊べ」という古い職場文化が幅をきかせている、と指摘する声もある。

議会内部では、下院議員を中心とした要注意人物たちの名前が知れ渡っていることも分かった。これを露骨に「変態リスト」と呼ぶ人もいた。

別々ながら数人から「女性スタッフを狙っている」と名指しされたカリフォルニア州選出の議員や、同様に「不適切な行為」を指摘されたテキサス州選出の議員もいる。ただし事実が確認されていないため、CNNは両議員の実名報道を控えることにした。

ワシントンの権力構造も問題をさらに複雑にしている。議員の事務所スタッフは政界で名を成そうという野心を持った若者が多く、議員はその直属の上司だ。ある上院スタッフによれば、悪質なセクハラのほとんどは、有力議員と若いスタッフが議事堂の外で接するような場面で起きる。元下院スタッフは「自制心を失った権力の乱用」だと非難した。

一方でセクハラを受けても黙って耐える女性や、誘いに応じる女性さえいる。それが政界でのし上がる道だと信じているからだ。

議会で働いた経験を持つ事情通の女性は、この構図を「議会で交わされる性取引」と表現した。

ある女性議員は、議場に敵をつくるのは得策でないという理由で、同僚議員からのセクハラに口をつぐんできたと話す。

しかし最近、下院の元議員や現役議員の女性らが相次いで、男性議員からのセクハラ発言に耐えてきた経験を告白した。

下院では14日、セクハラ問題を扱う規則の改正に向けた公聴会が開かれた。上院は先週、議員やスタッフ、研修生にセクハラ防止の講習を義務付ける決議案を採択した。

かつて下院議員のスタッフを務めた男性は先週、セクハラ問題に対応する議会内の体制改善を求めて署名運動を始めた。すでに1500人以上から署名が集まっているという。

議会内での争いごとを処理する窓口として「コンプライアンス室(OOC)」が設けられているものの、セクハラ被害を申し立てる手続きは長期にわたるうえ、「証明は不可能」「悪夢のような思いをする」などと言われ、途中で断念する被害者が後を絶たない。

OOCに対しては、セクハラの報告件数や和解条件などの情報公開を求める声も高まっている。

米議会でセクハラ横行

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