サウジ、実業家の王子ら17人逮捕 汚職撲滅掲げ一斉摘発

汚職への関与の疑いで逮捕された実業家のアルワリード・ビン・タラル王子

2017.11.06 Mon posted at 10:23 JST

サウジアラビア・リヤド(CNN) サウジアラビアで新設された反汚職委員会によって王子や政府高官が逮捕された事件で、ムハンマド・サルマン皇太子の側近は5日、逮捕された17人のリストを公開した。

CNNが独自に入手した同リストによると、逮捕者の中には富豪の実業家アルワリード・ビン・タラル王子も含まれる。アルワリード王子が95%を保有するキングダム・ホールディングは、米シティグループやツイッター、アップル、ニューズ・コーポレーションといった世界大手の株主でもある。

報道によると、逮捕を受けて5日、アルワリード王子の資産には7億5000万ドル(約855億円)の損失が出た。

汚職に関与した疑いで逮捕された閣僚や次官は現職と経験者を含めて少なくとも38人に上る。氏名が公表された17人のリストには、トルキー・ビン・ナセル王子や王立裁判所の元長官、サウジのメディア王と呼ばれるワリード・イブラヒム容疑者らが含まれる。

サウジ系の放送局「アルアラビーヤ」によると、ほかにも汚職撲滅の一環として閣僚3人が更迭され、閣僚経験者数十人が拘束された。

サウジTVによれば、更迭された閣僚は国家警備相のムタイブ・ビン・アブドゥラ王子と経済企画相、海軍司令官の3人。この3ポストについては入れ替え人事が発表された。

反汚職委員会はサルマン国王の命令で設置され、トップに就任したムハンマド・サルマン皇太子(32)の下で、容疑者に対する捜査や逮捕、渡航禁止、資産凍結の権限をもつ。

国王の命令で設置された反汚職委員会を主導するムハンマド・サルマン皇太子

サウジ情報相の発表によると、同委員会は「この数十年の間、王国発展の取り組みを阻んできた根強い問題への対応を目的とした積極的な改革」を推進。「一部の人物は公共の利益よりも個人的利益を優先し、公的資金を流用している」と述べ、「あらゆるレベルの汚職撲滅」を掲げている。

ムハンマド・サルマン皇太子はサウジの政界で権力を固めつつあり、皇太子に任命されて以来、女性の行動規制の緩和といった積極的な改革を打ち出してきた。先の演説では、過激主義を排して「より穏健なイスラム」に立ち返ると言明した。

サウジアラビアに詳しいCNNエディターのジョン・デフテリオス氏は今回の摘発について、「原油価格の是正によって様相が変わり、過去20年のようなやり方ではビジネスができなくなった」「そこで経済の多様化が必要になり、汚職撲滅に向けた大胆な行動に踏み切った」と分析している。

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