(CNN) ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は8日、同性愛者や離婚した信者の受け入れを拡大するようカトリック教会の司祭らに呼びかける文書を発表した。公式の教義に変化はないものの、実態に即した寛容な姿勢を取るよう教会に促す内容となっている。
「家族内の愛について」と題された文書の中で明らかにした。世界のカトリック司教を集めて開催された2度の教会会議を踏まえて発表されたもので、分量は260ページに及ぶ。
この中で法王は、同性愛者や離婚した信者など「変則的」な状況にある人々に対し、より寛容な姿勢を取るよう世界各地の司祭に要請。「司祭は人々の人生に石を投げるようにして単純に道徳規定を適用するだけで満足するわけにはいかない」として、実態に即した対応を求めた。
また同性愛者に対する「不当な差別」は許されないと強調。離婚した信者が再婚に際して「聖体拝領」を受けることの是非については、司祭が自らの裁量で判断するべきだと示唆した。
一方、「混乱の余地を生まない厳格な導きをよしとする声があることは理解している。だが、聖霊が人間の弱さの中に育んだ善良さを大事にすることこそイエスが望む教会のあり方だと私は心から信じている」ともしており、リベラル派と保守派の双方に配慮した内容となっている。
法王は教会が離婚を認める「婚姻無効」について、手続きの簡素化を推し進めてきた。今回の文書でも、離婚後に再婚した信者が教会の一員だと感じられるように扱われるべきだと説いている。
ただ、イエズス会のジェームス・マーティン氏によると、離婚した信者が聖体拝領を受けるのを許可すべきだと明確に述べているわけではないという。法王は同性愛や結婚、妊娠中絶などに関する教義は変えず、男女間の結婚を最高の理想とする教会の方針も改めて表明している。