人気沸騰のぬいぐるみ「ラブブ」、転売目的の数百体を税関で押収 中国

タイ・バンコクのモールにあるポップマートの店舗に設置されたラブブの陳列コーナー/Lillian Suwanrumpha/AFP/Getty Images

タイ・バンコクのモールにあるポップマートの店舗に設置されたラブブの陳列コーナー/Lillian Suwanrumpha/AFP/Getty Images

(CNN) 中国の税関職員が先月、報道陣のカメラの前で公開した最新の押収物は麻薬や武器ではなく、ぬいぐるみがぎっしり詰まった複数のスーツケースだった。

これらのぬいぐるみには、鋭い歯が印象的なふわふわのフィギュア、「ラブブ」数十体が含まれていた。ウサギの体に妖精の顔を持つ「ブサカワ」のラブブは世界中で熱狂的な人気を巻き起こし、買い求めようとするファンが店外で乱闘騒ぎを繰り広げる事態にもなっている。

販売元のポップマートが拠点を置く中国でさえ、入手は困難を極める。CNNが最近北京の繁華街にある店舗を訪れたところ、商品棚にラブブの姿はなく、ガラスのキャビネットの中にサンプル品が展示されているだけだった。

ポップマートの長年のファンはCNNの取材に答え、ラブブは入荷しても「数秒で売り切れる」のが常だと説明。「公式の経路でラブブを手に入れるのは不可能に近い」と語った。

こうしてファンは、通常とは異なる入手元に目を向けることになる。そこには密輸業者からの購入も含まれる。

中国の公的機関によるソーシャルメディアへの投稿をCNNがまとめたところ、国内全土の税関が4月以降押収したポップマートの玩具は計462点に上ることが分かった。ある投稿の中で税関はこれらの玩具について、「転売での利益」を目的としたものであり、法律に従って押収したと述べた。

投稿では、ラブブの密輸業者の中でそれ以外の法的措置を受ける者がいるのかどうかについて言及はなかった。

ラブブは香港生まれのイラストレーター、カシン・ロン氏が生み出したキャラクターで、2015年の登場以来、目立たないながら熱心なファン層を築いてきた。

しかしここに来て、人気が急激に上昇。リアーナやデュア・リパ、BLACKPINKのリサといったスターがお守りのように身に着け、今年のパリ・ファッションウィークでもその姿が目撃されていた。

中国国営メディアの封面新聞によると、ブラインドボックス方式で売られているラブブの最新シリーズは本来1体584人民元(約1万1600円)だが、転売市場での値段は1000~2000人民元に跳ね上がるという。

ポップマートの決算報告によれば、同社の昨年の海外を含む営業利益は125%以上増加した。中国本土での売り上げは10億900万ドル(約1570億円)を超え、2023年から34%伸びた。

一方で、転売業者からの購入にはリスクも伴う。北京に住むラブブのファン、ケート・ヤンさんはCNNの取材に答え、転売業者から最近購入した2体はいずれも偽物であることが分かったと明かした。

「公式のプラットフォームからは入手できないので、友達にプレゼントしたい場合にも人気のタイプがタイミング良く手に入らない」「余分な料金はかかるが、転売のプラットフォームからなら買うことができる」(ヤンさん)

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