イスラエル、ガザでの軍事作戦強化へ 閣議で「制圧」を承認
エルサレム(CNN) イスラエルのネタニヤフ首相は5日、パレスチナ自治区ガザ地区の「制圧」に向けた軍事作戦の拡大が閣議で承認されたことを受けて、ガザの住民は南部に移動することになると述べた。
軍事作戦の拡大は4日に閣議で承認された。イスラエル軍は閣議に先立ち、ガザでの軍事作戦の遂行能力を強化するため数万人の予備役を招集すると明らかにしていた。
ネタニヤフ氏はX(旧ツイッター)に投稿した動画で、「一つ明らかなことは、出入りはないということだ」と述べた。ネタニヤフ氏は「強化された軍事作戦」をめぐり、住民を保護するために移動させると述べた。
イスラエルの治安当局高官は、イスラム組織ハマスを制圧し、人質全員を解放するための軍事作戦が閣議で承認されたと明らかにしていた。
高官によれば、今回の軍事作戦は人質交渉に関する機会を提供するため、トランプ米大統領による来週の中東訪問が終わった後に実行される予定。人質解放をめぐる合意が成立しない場合には、総力を挙げて軍事作戦が開始され、全ての目的が達成されるまで終わらないとしている。
高官によれば、計画では、ガザの全住民を南へと避難させることで、人道支援の搬入停止が全面的に解除される可能性がある。イスラエル軍は占領した全ての地域にとどまるという。
イスラエル軍の報道官は、今回のガザでの軍事作戦拡大の「最高の目標」は、ハマスの打倒ではなく、人質の帰還だと述べた。ただ、ネタニヤフ氏はわずか1週間前に、戦争の「究極の目標」は人質の帰還ではなく、イスラエルの敵の打倒だと発言していた。
軍事作戦拡大の発表後すぐに、人質の家族から批判の声が上がった。政府が人質返還の合意の確保よりも、ハマスの打倒を優先し、軍事作戦の拡大によって人質を危険にさらしているとの懸念が出ている。
ガザでは、3月中旬にイスラエルが軍事作戦を開始し、約2カ月にわたった停戦合意が崩壊して以降、2400人以上のパレスチナ人が死亡している。パレスチナ保健省によれば、ガザでの戦闘が始まって以降、5万2000人以上のパレスチナ人が死亡した。