出生届けた父の外出中にイスラエル空爆、妻と双子が死亡 ガザ
(CNN) モハマド・アブ・アル・クムサンさんは体を震わせ、信じられない様子で息をのんだ。パレスチナ自治区ガザ地区中部のアクサ殉教者病院。クムサンさんは、病院の中庭にくずおれた。
「頼む、頼むから、会わせてくれ」「妻は出産したばかりなんだ。どうか妻に会わせてくれ」。13日に撮影された映像は、クムサンさんが泣き叫ぶ姿をとらえていた。
数時間前、デイルアルバラの自宅アパートを出て、3日前に生まれた双子のアイサル君とアセルちゃんの出生証明書を取りに出かけた。しかし外出先で電話がかかってきて、自宅がイスラエルの攻撃に遭い、2人の子どもと妻のジュマナさんが死亡したと告げられた。
別の映像ではクムサンさんが布に覆われた遺体の傍らにひざまづき、イスラム教の葬送の祈りをささげていた。病院関係者によると、薬剤師だったクムサンさんの妻と双子を含め、この地域に対するイスラエルの攻撃で少なくとも23人が殺害された。中には生後9カ月の乳児もいた。
クムサンさんはCNNの取材に対し、イスラエルの容赦ない攻撃から妊娠中の妻を守ろうと、必死の思いでデイルアルバラのアパートに転居したと語った。
妻のジュマナさんは数日前、双子の赤ちゃん誕生をフェイスブックで報告し、「奇跡」と書き込んでいた。
2人が結婚したのはイスラエルとハマスの戦争が始まる前の2023年夏。ジュマナさんは同年7月、「いつまでも一緒」という書き込みで結婚を発表していた。
ガザ保健当局によると、イスラエルのガザ攻撃によって4万人近いパレスチナ人が殺害された。そのうち子どもは1万6400人、新生児は115人を占める。負傷者は9万2000人を超えている。