観光客が世界遺産の建物を破損、イタリア古代都市でパルクール
(CNN) 障害物を乗り越えながらビルからビルへと飛び移るスポーツ「パルクール」に興じていた一行が、イタリア南部の古代都市マテーラで歴史的建造物を破損した。この場面を映した動画は批判の的になっている。
問題の動画がユーチューブに掲載されたのは2カ月ほど前。英ロンドンを拠点とするパルクール団体「チームファット」は、マテーラを訪れて歴史的建造物の間を駆け抜けたり、建物によじ登ったりしていた。
メンバーの一人が、壁の突起を使って別の建物へ飛び移ろうとしたところ、飛び乗った突起が崩れ落ち、自身も地面に転落した。「証拠を隠せ」という別のメンバーの声が聞こえる。転落した男性は脚にけがをした様子だった。
マテーラは旧石器時代にさかのぼる古代都市で、1993年にユネスコの世界遺産に登録されている。建物や洞窟は20世紀後半に修復されて魅力を取り戻し、インスタ映えスポットとして人気になった。
チームファットの動画はSNSで批判の的になり、「この街はユネスコの世界遺産だ」「安全のためだけでなく、文化と歴史に敬意を表して足元に気を付ける必要がある」などのコメントが書き込まれている。
チームファットの行為は、観光客の問題行動に改めて脚光を浴びせている。動画の冒頭、チームファットのメンバーは「知っての通り、我々はベニスから禁止され、もう行けなくなった」と発言していた。
同チームのメンバーは2023年3月、ベネチアの運河に飛び込む騒ぎを起こし、ベネチア市長が「愚かしさ」を非難していた。