暴力激化のハイチ、首相がプエルトリコ入り

（ＣＮＮ） ハイチの首都ポルトープランスで刑務所の襲撃など暴力が激化するなか、所在をめぐって臆測が飛び交っていた同国のアンリ首相が５日、米自治領プエルトリコに到着した。

プエルトリコ知事の報道官はＣＮＮに、この件に関する詳細な情報はないが、担当者は米税関・国境警備局（ＣＢＰ）の職員だと語った。

ポルトープランスでは先週から、警察や国家機関に対するギャングの襲撃が相次ぎ、市内２カ所の刑務所から数千人の受刑者が脱走した。ギャングのリーダーは、アンリ政権の打倒が目的だと話している。

アンリ氏は襲撃が始まる前からケニアを訪問していた。現地では、ケニアが主導してハイチに警官１０００人の国際部隊を派遣する計画が正式に決まった。同氏は１日に同国で姿を見せたまま、所在が確認されていなかった。

ハイチ政府は治安悪化を受けて、３日に非常事態宣言を出した。ボワベール財務相は、武装ギャングによる市民の拉致や殺害、女性と子どもに対する暴力、略奪などの犯罪行為が増えているためと説明した。

隣国ドミニカ共和国は、ハイチとの間を運航する貨物便、旅客便の発着を停止すると発表。アビナデル大統領は４日、ハイチ国境の警備を強化していると述べ、越境を図る脱獄囚には強硬な措置を講じると表明した。

国際医療組織「国境なき医師団」は５日の声明で、多数の負傷者が出ていることを受け、ポルトープランスでの活動を強化する方針を示した。

ただしハイチの主要な港が使えず、国際空港も閉鎖されていることから、現地で必要な医薬品が底をつく事態も懸念される。