DOGEはモンスター、「戻ってきてマスク氏を食い物にする」可能性 トランプ氏

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DOGEはモンスター、マスク氏を「食い物にする」可能性 

(CNN) 米実業家イーロン・マスク氏とトランプ大統領の「休戦」は1カ月も続かなかった。

上院が週末にトランプ氏の「大きな美しい法案」を審議入りさせる動議を僅差(きんさ)で可決したことを受け、マスク氏は6月30日、自身の潤沢な資金を駆使して、法案に賛成した共和党議員への対抗馬を擁立する考えを表明した。マスク氏は30日から7月1日未明にかけ、減税・歳出法案を批判する文章を繰り返し投稿。特に膨大なコストをやり玉にあげた。

30日夜に反論したトランプ氏は、マスク氏傘下企業の連邦政府との大型契約を調査する可能性を示唆。今月1日にはホワイトハウスで、マスク氏は政府の補助金以外に「もっと多くのものを」失う危険を冒していると指摘し、かつてマスク氏が率いた政府効率化省(DOGE)がモンスターと化し、「戻ってきてイーロンを食い物にする」可能性があると威嚇した。

これまでのところ、今回の対立は、先月両氏が衆人環境で応酬を展開したときほど個人攻撃や悪意に満ちているわけではない。この時のマスク氏は証拠を示さないまま、トランプ氏が性犯罪で起訴後に自殺した富豪ジェフリー・エプスタイン元被告に関する情報を隠していると非難し、政府の「エプスタイン文書」にトランプ氏の名があると主張していた。

対立がピークを迎えてから1週間後、マスク氏はトランプ氏に関する投稿の一部を後悔していると表明。エプスタイン元被告に関連した投稿や、トランプ氏は弾劾(だんがい)訴追されるべきとの提案に同意した別の投稿など、特に挑発的なX(旧ツイッター)の投稿を削除した。以降、マスク氏はトランプ氏や減税法案に関する姿勢を軟化させていた。

だが先月30日、マスク氏はトランプ氏の目玉法案に反対する内容を立て続けに投稿し、状況は一変した。

今回、マスク氏はトランプ氏への直接的な批判を控えているようだ。DOGEを使ってマスク氏を追い詰めると発言したトランプ氏の動画に反応した際には、「事態をエスカレートさせたい誘惑に駆られる。本当に、本当に大きな誘惑だ。しかし今は控える」とXに書き込んだ。

ただ、対立の影響はマスク氏の急所に及んでいる。マスク氏率いる米電気自動車(EV)大手テスラの株価は30日に2%下落したのに続き、今月1日にも7%急落。S&P500とナスダック総合が最高値を更新する相場全体の流れに乗り損ねた。マスク氏の資産の多くはテスラの公開株に連動している。

テスラの株主はマスク氏とトランプ氏の衝突に非常に神経質になっており、スペースXやテスラとの契約を解消するとの脅しをトランプ氏が実行に移す可能性を懸念している。歳出法案をめぐる対立が表面化した6月4日には、株価が約14%下落した。

ウェドブッシュ証券のアナリスト、ダン・ダイブス氏は7月1日、投資家向けのメモで「この『永遠の親友』の関係は今や昼メロと化し、引き続きテスラ株の重しになっている。投資家の間ではトランプ政権がより強硬になり、マスク氏に関係する米政府の支出を精査する事態が懸念されている」と述べ、「マスク氏はテスラの経営に集中し、政治的な見解を表明するのはやめてほしい、というのがテスラ株の投資家の願いだ」と指摘した。

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