ロシア反体制派指導者ナワリヌイ氏が死亡、当局が発表

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ナワリヌイ氏の死亡発表とプーチン氏、専門家が分析

(CNN) ロシアの刑務所を管轄する当局は16日、ロシアの反体制派指導者で政府を厳しく批判していたアレクセイ・ナワリヌイ氏(47)が死亡したと発表した。同氏は2020年に神経剤による健康被害を受け、世界中のメディアで知られる存在となっていた。

ナワリヌイ氏は政権上層部の腐敗を暴露し、与党「統一ロシア」への反対運動を展開、近年では最大級の反政府抗議デモを複数組織するなど、プーチン大統領にとって長年悩みの種だった。

ナワリヌイ氏は旧ソ連時代の神経剤「ノビチョク」による被害の治療でドイツにいたが、21年に帰国した。その直後に逮捕され、それ以降収監が続いていた。本人は容疑について、政治的動機に基づくものとして否定していた。

ドイツでの数カ月の療養を経て帰国したナワリヌイ氏=2021年/Kirill Kudryavtsev/AFP/Getty Images
ドイツでの数カ月の療養を経て帰国したナワリヌイ氏=2021年/Kirill Kudryavtsev/AFP/Getty Images

ナワリヌイ氏の健康状態は長い間懸念されていた。最近北極圏の刑務所に移送されてからは特に懸念が強まっていた。

当局はナワリヌイ氏が「散歩後に気分が悪くなった」とし、「ほぼ即座に」意識を失ったと説明した。「突然死」について調査を進めているとも述べた。

ペスコフ大統領報道官はプーチン氏に報告は届いていると語った。ナワリヌイ氏の死因を確定するのは医師だとも述べ、死因に血栓が絡むとの報道に関する質問には「わからない」と答えた。

クレムリン(大統領府)での汚職に反対運動を行うナワリヌイ氏=2013年、モスクワ/Dmitry Lovetsky/AP
クレムリン(大統領府)での汚職に反対運動を行うナワリヌイ氏=2013年、モスクワ/Dmitry Lovetsky/AP

ナワリヌイ氏の広報担当者キラ・ヤルミシュ氏は、ナワリヌイ氏の弁護士がハルプに向かっていると明らかにした。ハルプには昨年12月以降の収監先の刑務所がある。

ヤルミシュ氏はX(旧ツイッター)に「情報が入り次第報告する」と投稿した。

ロシアでは来月17日に大統領選が控えており、その直前でのナワリヌイ氏死亡の発表となった。選挙ではプーチン氏が5期目の当選が濃厚とみられ、当選すれば少なくとも30年まで政権の座に就く形となる。

ナワリヌイ氏は昨年8月、過激主義のコミュニティー創成や、過激主義の活動家に対する資金提供などの疑いで、禁錮19年の有罪判決を受けた。それより前にも、詐欺などの罪で禁錮11年6カ月の有罪判決を受けており、最も警備が厳重な刑務所で服役していた。本人はこの容疑を否定している。

昨年、さまざまな裁判で有罪宣告されたナワリヌイ氏/Alexander Nemenov/AFP/Getty Images
昨年、さまざまな裁判で有罪宣告されたナワリヌイ氏/Alexander Nemenov/AFP/Getty Images

8月の判決から4カ月後、弁護士はナワリヌイ氏と連絡が取れなくなった。それまで同氏はモスクワの東約240キロにある刑務所に収監されているとみられていた。当時、米ホワイトハウスは所在不明の報道に「深い懸念」を示していた。

ナワリヌイ氏は12月、出廷を予定していた複数の場面があったが、姿を見せなかった。弁護団は同月22日、SNSのテレグラムに、17日間も所在がわからず「これほど長期間、ナワリヌイ氏が隠されたことはない」と投稿していた。

弁護団は同月25日、ナワリヌイ氏の所在を尋ねる680回にも及ぶ請求の結果、1600キロ以上離れたヤマロ・ネネツ自治管区ハルプの「IK―3」と呼ばれる刑務所に同氏がいることがわかったと発表した。

ナワリヌイ氏の反汚職財団のディレクター、イワン・ズダノフ氏は「現地の状況は厳しく、永久凍土帯の特別な体制だ。現地に行くのは非常に困難で、手紙を届けるシステムもない」と述べていた。

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