パキスタンがアフガン難民強制送還、虐待の報告に国連人権高等弁務官が懸念
(CNN) パキスタンがアフガニスタン難民を集団で強制送還する政策を実行に移す中、国連のフォルカー・トゥルク人権高等弁務官は、アフガニスタン難民が虐待されているという報告について懸念を表明した。
トゥルク氏は15日に発表した声明で、アフガニスタン人がパキスタンから恣意(しい)的に追放され、不当な待遇や恣意的な逮捕、拘束、器物や所持品の破壊、脅迫などの虐待を受けているとの報告に対して懸念を表明した。
その上でパキスタン当局に対し、国際法に基づく保護措置が講じられるまで送還を停止するよう求め、法執行機関によるとされる虐待の訴えについて捜査するよう促した。
100万人以上のアフガニスタン難民が暮らすパキスタンは、難民の集団強制送還に乗り出し、11月1日までに自発的に出国するよう求めていた。
国連によると、これまでに32万7000人以上の難民がパキスタンからアフガニスタンに送還されているが、逮捕を恐れてやむなく出国した人が多数を占めるという。
国連には、パキスタンのアフガニスタン難民が地元警察によって夜間に急襲されたり、現金や貴重品、家畜などを没収されたり、恣意的に逮捕・拘束されたりしたという報告が寄せられている。
アフガニスタンで迫害、拷問、虐待など取り返しのつかない被害に遭う可能性のある人は、国際法に従って保護しなければならないとトゥルク氏は強調。特に女性は強制送還された場合、教育を受ける権利が制限され、生計を立てることができず、移動や社会生活も制限されているため危険が大きいとした。
2022年末の時点でパキスタンで登録されたアフガニスタン難民は130万人を超え、「難民のような状況にある」アフガニスタン人は42万7000人に上る。
しかしここ数年は警察による摘発や強制送還が相次いでおり、パキスタン当局は「不法移民」の取り締まりと説明していた。