ガザ住民に残された最後の出口、エジプトが開放に消極的な理由

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ガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所/Said Khatib/AFP/Getty Images

ガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所/Said Khatib/AFP/Getty Images

(CNN) イスラム組織ハマスによる先週末のイスラエル攻撃を受け、パレスチナ自治区ガザ地区がイスラエルの空爆にさらされる中、隣接するエジプトに対応を求める声が強まっている。

イスラエルはハマスによる攻撃の後、ガザ地区との境界にある検問所2カ所を閉鎖。ガザ地区を「完全封鎖」し、燃料や電気、水の供給を遮断した。

これにより、住民の脱出や物資の搬入に使用可能な出口は、ガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所のみとなった。ただ、この検問所にしても機能しているかどうかは不明だ。

ヨルダン高官が12日にCNNに明らかにしたところによると、ラファ検問所のエジプト側は開いているものの、パレスチナ側はイスラエルによる今週の空爆の影響で「機能していない」という。ヨルダン、エジプト両国は支援物資を運ぶトラックが空爆の脅威にさらされずに検問所を通過できるよう、イスラエルから安全許可が下りるのを待っている状況だとも述べた。

エジプト外務省は12日、ラファ検問所が閉鎖されているとの報道を否定。検問所はイスラエルの度重なる空爆により損傷した状態だと説明した。CNNは検問所が開いているのかどうかを独自に検証できていない。

ブリンケン米国務長官は11日、民間人が通行可能な人道回廊の設置についてイスラエルやエジプトと協議中だと明らかにした。

ただ、エジプトは数十万人のパレスチナ難民が自国に流入する可能性を懸念している。イスラエルの激しい爆撃を受けるガザ地区には、200万人以上のパレスチナ人が密集して暮らす。

イスラエル軍は12日夜、ガザ地区北部の住民に対し、自宅を離れ南部へ移動するよう呼び掛けた。同軍は予備役30万人をガザとの境界に集結させており、地上侵攻の準備を進めているとみられる。移動命令について国連は110万人規模の大量避難になると述べ、24時間では「不可能」との見方を示している。

エジプトのシーシ大統領は12日、軍の式典で演説し、自国の状況を火災発生地域にぽつんとたたずむ1軒の民家になぞらえた。エジプトがパレスチナの隣人の助けようとしていないとの臆測は事実ではないとも指摘した。

「この困難な時にあって、我々は医療上、人道上の支援が確実にガザ地区に届くよう手を尽くしている」(シーシ氏)

一方で、シーシ氏はエジプトの支援能力には限界があると警告した。

「もちろん我々は同情している。だが、慎重に対応しなければならない。同情はするが、我々は常に、我が国の大きな負担にならない形で平和と安全を実現するために頭を使う必要がある」。シーシ氏はそう述べ、エジプトは既に移民900万人を受け入れていると言い添えた。

国際移住機関(IOM)の2022年の報告書によると、エジプト国内の移民で特に多いのはスーダンやシリア、イエメン、リビアの出身者。

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