ウクライナ軍、供給追いつけない速さの砲弾消費 欧州対応が課題

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(CNN) 始まってから約18カ月が経過したウクライナでの戦争では、砲門が戦場で主役の兵器と化す展開が続いている。

この中で、ウクライナが望む砲弾の量と、兵器支援国である欧米諸国がウクライナ側へ迅速に提供できる分との間の大幅な落差が依然埋め切れない課題に直面している。欧州の兵器製造業者の間に合わせ的な対応では、ウクライナ側が必要とする規模を満たせないとの懸念も強まっている。

CNNの取材に応じたウクライナの国会議員によると、反転攻勢に転じたウクライナ軍は1日あたり6000発の銃弾・砲弾を消費している。これを1万発以上の水準にすることを望んでいるという。

一方、バルト海のエストニアやウクライナの専門家によると、ロシア軍は今年の最も激しい攻撃時には6万発の砲弾を浴びせており、その差は著しい。

欧州では最大規模の兵器製造企業の一つであるドイツの「ラインメタル」は、ウクライナが年間単位で必要とする砲弾は約150万発と算定している。

米国防総省によると、ロシアによる侵略が昨年開始された以降、米国がウクライナへ供与した砲弾は200万発以上。欧州連合(EU)は今年、少なくとも25万発を提供。これに加え、各加盟国による独自の個別分が含まれる。英国も弾薬を譲渡している。

エストニアの国防当局者は、欧州全体での砲門用弾薬の年間の製造能力は今年2月時点で
最大30万発と推定。この水準を年間210万発に引き上げる能力まで育てるには、最良の場合でも数年間を要すると見立てた。

欧州各国の備蓄分や在庫分が減り、現在の製造能力が限界に近い稼働を強いられている中で、武器弾薬の買い手側は確保し得るものには手をつけることに躍起となっている。薬きょうを手がける企業「ユーロプラズマ」の最高経営責任者(CEO)はCNNの取材に、買い手について「あなた方が送り出せるものは全てもらう」姿勢を示していると証言した。

EUの行政執行機関の欧州委員会は今年3月、ウクライナへの砲弾供与を来年3月までに3段階に分けて100万発を引き渡すが計画を発表。各国の在庫分を割り当てる案などが軸になっている。

ただ、EU加盟国は自国軍が発注した分を数年間におよんで処理すべく課題との板挟みにも陥っている。

米国の関連企業も製造能力の増強に関して同様の悩みを抱えている。米国防総省のラプラント次官(調達担当)によると、砲弾の月間単位の製造量全体は25年に10万発を見込んでいる。今年初期の1万4500発からは急増となった。現在は2万8000発だという。

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