ごみの山でまた火災、有害な噴煙で住民に健康被害 インド
(CNN) インド南部ケララ州コチで、廃棄物の埋め立て地から発生した火災が続いている。7日も有害な噴煙の拡散を食い止める作業は難航し、厚い煙が立ち込めて住民は呼吸困難などの症状を訴えている。
インドで後を絶たないごみの山の火災は、危険な熱やメタンガスを排出し、同国の気候危機を一層悪化させている。
当局は60万人あまりの市民に対し、屋内にとどまるよう勧告し、外出する場合はN95マスクを着用するよう促している。学校は6日、休校を余儀なくされた。
ケララ州消防局によると、火災は2日に発生した。出火原因は不明だが、埋め立て地では分解したごみから生じる可燃性ガスで火災が発生することがある。当局は、有害な煙が立ち上る現場で懸命の消火活動が行われている画像や映像を公開した。
火災は大部分が消し止められたものの、一帯には厚い噴煙の雲やメタンガスが立ち込めて刺激臭を放ち、視界が悪く大気が汚染された状態が続いている。
消防局によると、この噴煙で気を失う消防隊員もいるという。
人工衛星で排出を監視しているGHGSatによると、インドは埋め立て地から発生するメタンガスの量が世界で最も多い。メタンガスは二酸化炭素に次いで2番目に多い温室効果ガスだが、閉じ込める熱の量はメタンガスの方が多く、気候危機を悪化させる効果は高い。
今回の火災が発生したごみの山は、あふれ返る廃棄物が腐敗して有毒ガスを放出しているインドの埋め立て地約3000カ所のうちの一つにすぎない。
欧州連合の国際都市間協力プログラムがまとめた2020年の報告書によると、08年にできたこの埋め立ては、約6.5ヘクタールの敷地に広がり、1日およそ100トンのプラスチックごみが届く。このうちリサイクルできるのは約1%のみ。残る99%は山積みされる。
プラスチックごみの山は日に日に大きくなり、過去数年で数回の火災が発生、大気や環境を汚染させているという。
それでもここはインド最大の埋め立て地ではない。西部沿岸部のムンバイにある同国最大の廃棄物処分場は、18階建ての高さがある。
ここでも散発的に火災が発生し、周辺に住む約100万人の住民に被害が及ぶ。
政府の中央汚染委員会によると、インドのほとんどの都市では正式なごみ処理の手順がない。付近のスラムの住人は、わずかな稼ぎを求めてごみの山をかき分ける。