中世の井戸の底から見つかった遺骨の謎、DNA分析で解明 英

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中世の井戸から見つかった幼児の顔の遺骨をデジタルで復元した画像/Caroline Wilkinson

中世の井戸から見つかった幼児の顔の遺骨をデジタルで復元した画像/Caroline Wilkinson

(CNN) 2004年、英イングランド東部ノリッジのショッピングモールで、工事に取り掛かっていた建設作業員が、800年前の井戸の底から17体の遺骨を発見した。

成人6人と子ども11人からなるこれらの人物が何者で、なぜ中世の井戸の中に入ることになったのか。そうした疑問は長年にわたり考古学者らを悩ませてきた。骨格をそろえた形で並べる他の大規模な埋葬と異なり、見つかった遺骨の並びは奇妙な位置関係にあり、別の人物同士で混ざり合っていた。これはそれぞれが死亡してすぐ、逆さまの状態で井戸に投げ込まれたためである公算が大きい。

これらの人々が死亡した経緯について理解を深めるため、科学者らは最近になって骨に残る詳細な遺伝物質の抽出に成功。これには近年の古代DNA解析の進展が一役買った。

遺骨6体について遺伝情報を調べたところ、その中の4人には血縁関係があることが分かった。うち3人は姉妹で最年少は5歳から10歳だったとみられる。さらに分析を進めると、当該の6人は「ほぼ間違いなく」ユダヤ人であることが示唆された。

研究者らは、遺骨の人物たち全員が反ユダヤの暴力の中で死亡したとみている。当時のノリッジではそうした暴力が猛威を振るっていた。最も可能性が高いのは1190年2月に起きた暴動だ。これは第3回十字軍に関連するもので、中世の年代記に記録が残っている。暴動の中で何人が殺害されたのかは分かっていない。

分析結果はロンドン自然史博物館の主席研究員を務めるセリーナ・ブレース氏が主導して論文にまとめた。

研究者らは井戸の中の個々人に共通する遺伝子について、現在の「アシュケナジム」の祖先に類似すると指摘。研究によると、アシュケナジムにつながる中世のユダヤ人は歴史上主に欧州北部や東欧で暮らしていたとされる。

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