レオパルト2戦車、ウクライナでの戦争に重要な理由
(CNN) ウクライナへのレオパルト2戦車の供与について、ドイツは欧米同盟国と合意に達することができなかった。北大西洋条約機構(NATO)やウクライナ政府から、ロシアが春季攻勢に出る前に軍事支援を強化するよう求める声が強まっていたにもかかわらずだ。
ロシアとの戦争が開始から1年の節目に近づく中、レオパルト2はウクライナ軍の強化につながる重要な現代的軍用車両と目されている。
ただ、ドイツは対ウクライナ軍事支援に消極的との指摘をはねつけ、米国に対し自国の戦車をウクライナに供与するよう要請した。
なぜレオパルト2がこれほど重要なのか?
シンクタンク「欧州外交評議会」によると、ポーランドやフィンランドを含む欧州13カ国は既に、近代的なドイツ製レオパルト2を保有している。レオパルト2は1979年に導入された後、数回にわたって改修が行われてきた。
保有国の多くはウクライナへの再輸出に同意したものの、ドイツの承認が必要な状況だ。ポルトガル国防省によると、ドイツのラムシュタイン空軍基地で開かれた会合では、こうしたレオパルト保有国の関係者が協議する場面があった。
合計では約2000両のレオパルト2が欧州各地に散らばっており、準備状態にはばらつきがある。
各戦車は120ミリ滑腔砲や7.62ミリ機関銃を搭載。オフロードで時速70キロを出せる高い機動性が特徴だ。製造元であるドイツのクラウス・マッファイ・ベクマンによると、即席爆発装置(IED)や地雷、対戦車砲などの脅威に対する全周防御機能も持つ。
多数の車両が既にウクライナの近くに配備されていること、他のモデルに比べ整備の必要性が少ないことから、専門家はレオパルト2が供与されればすぐさまウクライナの追い風になる可能性があると見ている。
なぜドイツはウクライナ支援に二の足を踏んでいるのか?
NATO加盟国の一部にはドイツへのいら立ちも広がっており、他の欧米諸国に比べドイツはウクライナ支援の動きが遅いとの一部の見方を補強する結果になっている。
ドイツは20日にウクライナへのレオパルト2供与を発表すると見られていたが、ドイツの出した答えはもっと時間が必要というものだった。
さらに、ドイツの新国防相にボリス・ピストリウス氏が任命された人事を巡っても、過去の対ロシア姿勢を理由に疑問視する声が上がっている。
ポーランドのモラビエツキ首相は、ピストリウス氏が以前に対ロシア制裁の緩和を支持していたこと、シュレーダー元首相と近い関係にあることに言及した。シュレーダー氏は侵攻開始後にロシアとのつながりを断たなかった点が問題視され、ドイツ議会にある事務所の使用停止に追い込まれた。