ロシアがソレダル掌握に躍起になる理由

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激戦地ソレダルで砲撃後に煙が上がる様子=8日/Roman Chop/AP

激戦地ソレダルで砲撃後に煙が上がる様子=8日/Roman Chop/AP

ソレダルの重要性は?

ロシア軍は7月初めから戦果がなく、北部ハルキウと南部ヘルソンでは撤退を余儀なくされた。

現在は荒廃した状態にあるとはいえ、ソレダルを奪取すれば数少ない成果となる。ただ、実質的な成果というよりも、象徴的な意味合いにとどまりそうだ。米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は、ソレダルを制圧しても「ロシア軍がバフムートにつながるウクライナの重要な地上連絡線を支配できるとは限らない」との見方を示す。

「ロシアの最も大げさな主張を額面通り受け止めた場合でさえ、ソレダル制圧がバフムートの即時包囲につながるわけではない」(戦争研究所)

ただ、ソレダルはプリゴジン氏個人にとっては非常に重要な意味を持つ。ワグネルの戦闘員には多数の元受刑者が名を連ね、第1次世界大戦を思わせる塹壕(ざんごう)や泥だらけの戦場で相次ぐ地上攻撃を行っては、多数の死傷者を出している。ここ数カ月のロシア国防省が撤退しかできなかったのに対し、プリゴジン氏は自分たちなら戦果を挙げられることを示そうと躍起だ。

プリゴジン氏は10日遅く、ワグネルの部隊がソレダル全域を掌握したと主張。市中心部で激しい市街戦が起きているとしたうえで、「ワグネル以外の部隊はソレダルへの攻撃に関わっていないと強調したい」と付け加えた。

ソレダル攻防には伏線として、プリゴジン氏とロシア国防省との間の影響力やリソースを巡る争いも絡んでいる。プリゴジン氏は引き続き「腐敗した無能な軍の階層制」を愚弄(ぐろう)する姿勢を取っており、対立は激しさを増している。

ウクライナのソレダル防衛方法は?

ウクライナは敵に甚大な損失を与えることが可能とみて、歩兵の攻撃を次々に誘い込む戦術を取っている可能性がある。ブフレダールでは昨年後半、この戦術が効を奏した。その後、ウクライナ軍の司令部は機を見てバフムートへの撤退を決めるだろう。

ウクライナ軍第46旅団は10日、ネット上への投稿でこの戦術に言及。「戦況は非常に困難だが、対応可能だ。我々は維持が得策ではないと判断した場所だけを放棄する」と述べた。昨年夏のルハンスク州で最後まで抗戦したリシチャンスクの場合と同様、死傷者が増えて補給がほぼ不可能になれば、ソレダル死守を試みるのは得策ではなくなる。

ウクライナのドネツク州支配地域の各地で縦深防御を敷いており、ロシアはわずかな前進のためにも大量の武器弾薬を消費せざるを得ない状況だ。

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